第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
私が声を発した途端に冷たい空気が流れる教室。
機械の上に手を乗せて、彼女に限界まで顔を近付けて、目を見ながら言った。
『貴女、何してんの?ここは学校なの。学業が優先。頭の良い貴女なら分かるでしょう?』
「確かにここは学校です。しかし私は、標的を殺すために作られています。貴女にそれをとめる権限はないはずです」
『話聞いてた?私は自分が依頼された仕事を果たしてるだけ。こっちからしてみれば、簡単に言って貴女は敵と認識せざるを得ないのよ。あくまでも警護な上、転校生って形だから貴女を壊してはいないけれど…撃とうと思えば、そっちの銃くらい撃てるんだからね?』
勿論実弾での話だ。
銃を壊してしまえば、射撃なんて出来なくなるんだから。
「生徒に危害は加えていないはずです」
『弾がBB弾だからでしょう?もしそれが実弾だったなら、確実に何人か殺されてるわ…簡単に人を殺して、何も思わないような人と、私は友達にはなれない』
なんにも分かってない。
自律思考って言うんなら、それくらい分かってくれてもいいはずでしょうに。
『私は本気よ。友達を危険に晒すようなただの優秀な機械なんていらないのよ…そんなに撃ちたいんなら、私を相手にして撃ちなさい。じゃないとマッハ20の標的なんて殺せやしない。』
「貴女を相手に?」
『そう、席も丁度隣。今日一日かけていいから、授業中、私に一発でも当てれたら殺せんせーを狙って暗殺を続けてもらってもいいわ。最新技術を施された貴女なら簡単でしょう?』
挑発するように言うのは、恐らくこの機械からこちら側の様子を伺っているであろう、製作者に喧嘩を売るため。
これを買ってくれれば、きっとこちらに応じてくれる。
あんな状態じゃ、迷惑極まりないわ。
どうせ放たれたBB弾を回収する機能なんてついてないんでしょうし。
「……分かりました、貴女の言う通り、マッハ20の殺せんせーを殺すには、それくらいの技術が必要だと思います」
よし、きた。
『うん、なら、楽しみにしてるわね?一時間目そろそろ終わりそうだし、二時間目からでもいいかな』
「はい」
『じゃあ、覚悟してかかってきてね?実弾使うくらいの気持でかかってきてよ…私、こう見えて結構強いからさ』
負けない。
能力なんか使わずに、全ての弾を撃ち落としてやる。
機械のディスプレイから女の子が消えた。