第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『いえいえ、どちらかというと厄介事持ってきてるだけですし、それがそもそも仕事ですからね!皆が皆、私みたいにそういった組織の人間ってわけじゃないですし』
能力を見ても、気にしない人は気にしない。
でも、やはり普通に過ごしてきた子達なら、気味悪がって邪険にするのも考えられる。
それでも、守るのが仕事だから。
仕事だから?
それだけじゃない、友達だから。
「そうだな…ん?もう一時間目始まってるな。なんだか教室から凄い音が聞こえないか」
『音ですか?……っ、先生、多分これ、対殺せんせー用BB弾の発砲音ですよ!授業中に鳴ってるのっておかしいんじゃないですか!?』
「自律思考固定砲台か、…白石さん、君の意見は貴重なものだ。環境にそぐわない暗殺者が危険だという意見にも筋が通っている。BB弾なら生徒に危害はないだろうが、万が一何かあればサポートしてやってほしい」
『はい、勿論です…教室戻りますね、とりあえず言いたかったのは連絡せずに顔を出さなくなるかもしれないという事なので、よろしくおねがいします。お時間作っていただいてありがとうございました』
「ああ、何か力になれることがあれば、俺は全力で君の力になる。だから、これからも何かあったら言ってほしい」
『はい、ありがとうございます!では失礼しました!』
職員室の扉を丁寧に閉め、教室を覗いてみると、やはり自律思考固定砲台…転校生からの連続射撃が行われていた。
そうだよね、そりゃそうなるよ。
最新の技術だかなんだか知らないけれど、私はあれとよく似たものを見たことがある。
見たところ誰かが怪我をするといったようなことは無さそうだが、マッハ20で動くことの出来る殺せんせー以外の皆にしてみれば、ただのいい授業妨害だ。
恐らく機械自体を破壊すると問題になるだろうし、生徒の危機というわけでもないから異能も使わない方がいい。
さて、どうしたものか…なんて考えるほど私の脳は穏やかではなかった。
ごめんね転校生暗殺者さん。
こう見えて私、人を殺めていないだけで、その道に関して言えばよっぽどの腕利きを連れてこられなきゃ負ける気がしないのよ。
私はあなたとよく似たような相手と、“実弾で訓練をしていた”事だってあったのだから。
黒板側の入口から飛び入って殺せんせーと皆の間に入り、太もものホルダーから二丁の銃を手に取った。