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第14章 わからない人


予想の斜め上をいったその回答に、は?と間抜けな声が漏れる。
恐らく今の俺の顔も、かなり間抜けなものだろう。

「多分ソラちゃんのことは覚えているだろうけれど、あの子は最初から君に懐いていた様子だったろう?」

「あ、ああ…確かどこかで見かけた時に一目惚れしたんだとかなんとか……?」

「そうそう、それで中原君にべったり抱きついちゃって、あろう事かキスまでしようとしちゃったんだけど覚えてる?」

あれは流石に覚えている。
しかし、その後どうなったのかは覚えていない。

一つ頷くと、首領が困り眉で微笑みながら俺に続きを話してくれた。

「それで蝶ちゃん我慢出来なくなっちゃってさ、ソラちゃんに攻撃仕掛けて拘束して、僕に聞いてきた最初の言葉がこの人殺しちゃダメですか?だよ」

「そんだけで殺すとか…えっ、あいつがですか!?全く想像つかないんですが!?」

「ね?可愛らしいでしょう………あの子は君に関することなら本当に必死になっちゃう子だからね。そんな子だよあの子は…嫌に思うかい?」

「い、いや…寧ろそんなに想われてただなんて思ってなくて……俺なんかの事をそんなに考えてくれるような奴がいたんすね」

初めての感覚だった。
自分の事をそんな風に必死に考えてくれるような奴になんて、生きてて全員が出会えるもんじゃない。

それに俺なんかは特に身寄りが元々あったわけでもなかった上、女なんか作りもしなければ興味もなかったような人間だ。
あいつを初めて医務室で見た時、つい心までもを奪われてしまったが……あいつがそんな奴だっただなんて思いもしなかった。

俺は、なんて大事な事を忘れてしまったんだ。
どうして、一番忘れてはいけないはずのものを忘れてしまったんだ。

「あの子は確かに君の恩人ではあるけれど、君もあの子にとっては恩人のようなもの…中原君がいいのなら、どうかあの子を素直にさせてあげられないかな。難しい事だけれど、蝶ちゃん君の前でじゃないと絶対言ってくれないこととかあるからさ」

「!……はい。ですが今食事でさえもを断られちまったばかりなんですが?」

「ああ、そこは簡単に解決出来る方法があるから心配しないでよ。それよりもとりあえず、今は君にあった事をちゃんと話そう」

一人にしておいて大丈夫なのかと思ったが、首領が大丈夫だと言うのであれば大丈夫なのだろう。
首領の話を聞く事にした
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