第14章 わからない人
「……成程、俺の様子がおかしくなったのが、あいつの作ったもんを食った直後で…何かを盛られた上に風邪を移されていたから……?」
大体の事は教えてもらった。
移し替えの能力…そんなもの聞いたこともないのだが、本当にある話なのだろう。
「確かに君はそれで元々弱らされていた上に、あの子の作ったものに何かを盛られていたんだろうけれど……あの子が君に毒を盛るはずはない」
「そんなの見てれば分かりますって…で、その話のどこにあいつが負い目を感じる必要があるんです?」
「!ね!?そう思うでしょう!?」
「寧ろ停電なんかになったのはここの落ち度ですし、相手にいいようにやられたのは俺の力不足でしょう……って、それであいつ俺に作らねえって…」
少し前に断られた話を思い出した。
こう考えてみれば相当思いつめてるな、だなんて、何故か手にとるように分かってしまう。
「そうなのだよ、だからあんなに考え込まなくてもいいと思うんだけれど…何せ今まで、君以外の誰かが彼女を説得しきれたことがないからさ」
「!それはまたどうして…」
「赤羽君や立原君にトウェイン君でも最近はかなりマシだと聞くが、それでもやはり君のように上手くはいかないと言われる…一人、優秀な人物がいたにはいたんだがもう殉職してしまっているし」
「………俺からしてみれば寧ろ助けてくれて本当にありがてえって
話なんですが。…礼すらまともに受け取ってはもらえなさそうですね」
良くも悪くも中原君一筋な子だからねと言われてまた深く納得した。
なんだ、全然子供らしくなくなんかねえじゃねえか。
そんな事で悩んであんな断り方しか出来なくて…子供らしくねえんじゃねえ、子供になれねえだけなんだ。
甘えられる人間がいねえんじゃねえ、俺がこんな状態になっちまって、誰に甘えりゃいいのか分からねえんだ。
死にたいわけでも俺から離れてえわけでもねえ。
俺のところにいて、生きていたいんだ。
「………会ったばかりなはずが、益々放っておけなくなりましたね。で、どうすれば飯を食べてもらえるんです?あの頑固ぶりを簡単に崩せるだなんて、そんな方法…」
「うん、簡単だよ。とりあえず僕の言う通りにやってみるんだ、多分皆気付くと思うから」
「皆……?はあ、分かりました」
まずはそこからだ。
そこからちゃんと話をしよう。
あいつの笑った顔が見たい。