第14章 わからない人
私達が着いた頃には殺せんせーはシロさんによって身動きを取れなくされていた。
弱ったまま動けずに横たわるイトナ君を庇いながら、シロさん達大人数からの攻撃に耐えている。
「ち、蝶ちゃんあれは…っ」
『大丈夫、今から私も行ってくるから…指示通りお願い。後はカルマが指揮執ってくれるから』
「任せてよ…気をつけて」
カルマの声に頷いてから、まず真っ先にイトナ君と殺せんせーを壁で覆った。
すると殺せんせーが壁にぶつかって動けなくなる…と同時に、殺せんせーとイトナ君を攻撃するものから守られ始める。
壁越しなら対殺せんせー物質は効かないのか、予想通りだ。
相手も味方もそれに驚いている内に中に入って、真っ先にシロさんに向かって走り出す。
「なっ、君は…!!放射線を!!!」
『無駄……遅いから』
「な!!?…ッガ、!!!」
首元に蹴りを入れてそのままそこに横たえる。
対殺せんせー繊維で作られた衣装も、壁さえ纏えば怖くない。
気分が悪くもならないし、放射線だって利きはしない。
それからすぐに走って周りにいる他の相手の意識を次々に沈めていく。
カルマの指示によって他の皆も動き始め、大掛かりな人数だったけれどもすぐに相手勢力を叩くことが出来た。
「皆さん、よく来てくれました!」
相手側の装備も全て破壊したところで、シロさんがその場で立ち上がる…否、立ち上がろうとした。
立ち上がる前に私がもう一度蹴りを入れ、馬乗りになるようにその場で上から乗ったからだ。
「白石!!?」
「蝶ちゃん!?何して……ってそれナイフじゃ…!!?」
思いっきり振りかざしたところで、シロさんの顔にナイフの切っ先が触れる直前にそれを止めた。
…よかった、なんとか止められた。
『………っ、イトナ君を解放して下さい』
「…くれてやるよそんな子は。使えない……そしてさっきから君は、どうしてそんなに怒っているんだい?今にも私を殺してしまいそうな勢いで____」
『___タイミングが悪すぎるのよ…人が折角頑張って、やっと一つ蹴りが着こうとしてたところでいい邪魔してくれましたね……?』
私の殺気が漏れだして、シロさんだけでなく他の子からも視線が刺さる。
『……っ、それにイトナ君が使えない?貴方、仮にも“保護者”でしょう!?自分から手を差し伸べたんなら…最後までその責任貫き通しなさいよ!!』