第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
どうしても折れてくれないか…
『でも、私はお話した通り、自分の事でも色々あります。転校生という形式をとっても、殺し屋を皆に近付ける事は、やはり避ける方がいいと思うんです。よからぬ輩を引き寄せかねない…殺し屋は、目的のためなら手段なんて選びませんよ』
そこまで言っても、烏間先生ははぁ、と溜息を一つするだけ。
「白石さん…君は本当に仲間思いな素晴らしい人だ、尊敬に値する程の。でもだめだ、俺は君が自分を傷付けるような行動を取るのなら、それこそどんな手段でも使って君を止めるぞ」
『自分の受け持つ生徒だからって、なんでそこまでして…』
「……言うなと言われた事なんだが、これは中原さんに何度も頼まれた事なんだ。修学旅行前、君が制服に血を吸わせて修学旅行から帰ってきたことがあっただろう?その時の事を、探偵社の太宰さんから聞いていたらしくてね」
今度は私が驚く番だった。
『え、なんで太宰さんがわざわざ…』
「俺達は、君が受けなくてもよかったはずの傷を負ったとだけ聞かされた。あの日白石さんが帰ってきた時、白石さんの体質の事を知らなかったから、返り血か何かかと思っていたのだが、新幹線では傷を負ったと聞いたんだ」
『だ、ダメですよ先生?中也さんの名前使ったりなんかして。中也さんは、何か言うことがあったら私に直接言うはずです…前だって、そうだったのに』
小さい頃に私が傷を負って、ダメージはそのまま受け取ってしまうため、瀕死の状態に陥った事があった。
その際に、目覚めてから中也さんに酷く怒られ…悲しませてしまった。
「本人が言うには、長らく会えていなかったところを久しぶりに再会したのに、君に強く言い聞かせる気にはなれなかったそうだ。だから俺達に、君が無茶なことをしようとすれば止めてほしいと言ってきた。…目の届かない所では、やはり心配だそうだ」
心の中から何かが込み上げてくる。
そうだ、さっきだって自分で散々考えていたじゃないか、中也さんを悲しませちゃダメだって。
中也さんと離れてたこの数年で、自分の事にいっぱいいっぱいになってた私はなんて馬鹿な事をしていたんだろう。
太宰さんと国木田さんにだってついこの間心配をかけた。
『…はい、使わないように、します』
「……そうか、なんだか済まないことをしている気分にもなるが、分かってくれてよかった」