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第13章 愛ゆえに


『ふぁ…ッ、ぁ……っ』

「おい、マジでどうしたお前!?俺何かしたか!!?」

『や…っ、は…、』

焦って余計に動かされる指が触れる。
ダメだ、刺激が強すぎる…もうちょっと優しい刺激なら…

なんて考えが思い浮かんでハッとした。
何を考えているんだ、今こんな風にされて流されちゃダメなのに…早く中也さんの指を離さなきゃ。

『ゆ、び…ッくび、ダメ……っ、弱いから…ぁッ』

「首!?…弱…って、ああああ!!?すまん!!!」

バッと手を離されて、ハアハアと肩で息を整える。
危なかった…中也さんにいいように身体にこういう感覚を覚え込まされたせいで、こんなにもあっさりと素が出そうになるだなんて。

少しだけがっかりしたのは私だけの秘密。

『……いえ…』

「そ、そりゃ弱ぇところもあるよな女だし、てか気安く触れてすまなかった!!!」

『?なんで謝るんです??』

「なんでって…え、お前女じゃねえか、普通初対面の男にいきなり気安く触られたら嫌じゃねえの?それに……年頃なんだ、気になる異性の一人くれぇいるだろ」

正論すぎるその意見に私もまだまだ分かってなかったなと痛感した。
どうしたって、私の身体に染み付いてしまった中也さんとの時間は消えてはくれない。

『ああ…そういうのもあんまり興味ないんで。それに中原さんに触れられたって嫌じゃないですよ……酷いことはしないでしょう?』

「しちまった相手にそれ言うとか痛ぇとこ突いてくんなお前…つうかこんな時間までここにいていいのかよ?お前くれえの歳なら親が心配してるんじゃねえのか?」

『…心配してくれるような親はいないんで大丈夫ですよ』

「は…っ?……じゃあお前、学校はどうやって通ってんだよ?親がいねえって…」

『……私の親は私の事を忘れちゃってるんです。一応いるにはいますし無事なんですけどね?…私のせいで記憶障害になっちゃってて』

嘘は言ってない。
だけど、伝えきることも出来なかった。

「記憶障害ってまた大変な…って俺も実際になってみるまでここまでは分からなかったが……それでこんな仕事に手ぇ出してんのか?」

『まあそんなところです…もう別居して別のところに住んでますし。元々こういう仕事はしてたこともあったんで慣れてますよ』

「元々?殺し屋でもしてたってのか?…でも両親がいる日本の子供が?」

『色々複雑なものでして』
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