第13章 愛ゆえに
あれから学校との兼ね合いなどを考えてある程度の仕事を決定して、それを確認して中也さんのいる医務室に戻る。
『失礼します…』
カーテンを少し開けてから片目で中を覗き込むと、中也さんは私に気が付いて目を合わせてくれた。
「戻ったか……ってそんなこそこそすんなって、悪かったよさっきは本当…もうしねえから、な?」
こっちに来いというように、はたまた警戒している猫を自分の元に来させようとするように手で私を招く。
『はぁい』
中に入ると中也さんは相当暇なのだろうか、ワインを調べているようだった。
『赤ワインで手頃なやつならヴィンテージとか…2000年ものとか美味しいような気がするなぁ』
しかし言った途端に中也さんから視線を感じて、何かと思いきや目を見開いて私の方を凝視していた。
「お前…十四でもうワインの味が分かんのかよ…?何もんだ?酒はいける口なのか?」
『あ……私お酒はかなり弱いんですけどね。美味しいやつならまあ覚えてます』
「驚いたなこりゃ。今度何か飲むか?」
『ああ…私お酒は……酒癖かなり悪いんで』
「お前さては相当飲んだことあるな?はは…んで、お前もしかしてその上着の下……椚ヶ丘の生徒か」
中也さんの言葉にドキリとした。
なんでですかと聞き返せば、カルマの名前がやっぱり出てくる。
「なんかちょくちょく思い出せねえんだが、あそこの生徒や先生方にはなんか世話になってた記憶があってな…もしかしてカルマの友達か?」
『!…友達どころか親友ですよ、本当にお世話になってます』
「そうかそうか、本校舎の奴とも交易あったんだなあいつも。見たところお前はちょっと大人っぽいし…あんまりE組差別とかはしてねえ感じだな」
そうか、私の事を知らなければそういう感覚になってしまうのか。
確かにE組の中で私の顔を見た事がないのであれば、そういうことになってしまう。
『E組がどうとか正直何も考えてないんで』
「へえ、賢そうな奴…ていうかやっぱりなんか違和感あんな、お前の髪」
『…変ですか?』
「いや、変っつうか…そこ座って後ろ向け」
言われた通りに座って、何なのかと疑問に思いながらも大人しくする。
すると中也さんの指が髪に触れ、それらをまとめるように手を動かして…
『……ッ!?…ちょっ、…ひゃ……っ』
「!?なんだ!!?」
その途中で、項に触れた。
