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第13章 愛ゆえに


「大丈夫かい!?ああ、なんで来てしまったんだここに…外のあれは君のせいだね?とりあえず解除してくれないかい……君の身体が心配だ」

『!!…ぼ、…す……ッ?』

「大丈夫、大丈夫だから!!落ち着いて…もう怖くない」

ガタガタ震える私の体を抱きしめて、首領は強く私に言い聞かせる。
少ししてから解除しなくちゃと思い返して、ここに来るまでの間に張り巡らせてきた壁を全て解除した。

すると外から立原や広津さん達も中に入って来て、私の様子を見て目を見開く。

「ばッ…、お前、首領からの言伝あっただろ!!?なんでここに来た!!!」

『…ごめん、なさい……っ、ごめんなさい…怒らないで…おっきい声で怒鳴らないで…ッ』

「!!…幹部、こいつに何したんすか」

「あ?手前らの見張りを抜けてここに来る時点で怪しすぎるだろ。侵入者かと思って圧死させようとしたらそれは解除されるし、おかしいからこれから拷問でもしようかと考えてたところだったんだが…なんだ?手前の女か何かか」

その一言でその場が凍り付いた。
頭の中が、さっきまで色んなことを考えてぐちゃぐちゃしてたのに…一瞬にして真っ白になった。

「………中原君、この子に対して拷問だとか、間違っても誰かの恋人なのかとか…そういう発言は今後一切慎みたまえ」

「!…何故です、その女にやけに肩入れされてませんか?いったい何だって…」

「この子は今回、君の命を助けてくれた子だ…そんな事をしていいような相手ではない……!!」

首領の言い方ではっきりした。
ああ、なんでここまで気が付かなかったんだろう。

なんで、そこまで考えが及ばなかったんだろう。

「!?それで面識が…ッ、すまねえ、散々な非礼を……っ、あああなんて馬鹿な事をしてるんだ俺は!!どこかに傷は出来てねえか!!?」

焦ったように私の目の前にしゃがみこむ中也さん。
今度は、私を普段心配するのと同じような…優しい優しい表情だった。

『……“大丈夫”です。…慣れてますから』

「何か詫びを…っつうより礼もしなけりゃいけねえくれえだってのに!!」

『大丈夫ですって、お気になさらないで下さい』

「気にすんなっつっても…あれ、そういや俺は執務室で倒れてたんだろ?手前、なんで俺の執務室になんか……」

首領を見ると焦ったような顔をしていた。
ああ、そこまでは考えてなかったのね。
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