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第13章 愛ゆえに


夜の見張りの人数は把握していたため、残りは医務室に配置されているのだろうと見当がついた。
医務室の入口を覗くとやはり見張りがついていて、そこには黒蜥蜴の三人に樋口さんまでついている。

少し心が痛むものの、四人まとめて壁の中に閉じ込めて、カルマ君と堂々と歩いて中に入っていく。

私達二人にいち早く気がついた銀さんがこちらに来ようとして壁にぶつかった。

そして立原や樋口さんが銃を構える。

そこで私は口角を上げてにやりと笑った。
よしよし、やっぱり気付かれてない。
カルマ君なんかは服装を変えただけでも十分だ。

まあ、すぐに気付かれてしまうのだろうけれど。

広津さんが銀さんの様子に疑問を持ったのか、壁に触れて冷や汗を流した。
そして私の方に目を向けたため、まあこちら側に声は聞こえないしと被っていたフードを外す。
すると四人揃って目を見開いて、武器を下ろして私を見るのだった。

それに微笑んでから片手を振って、医務室の扉を開ける。
立原が必死になって壁を壊そうとするものの、音の一つも漏らさない。

どうしてだ?
中也さんの目は覚めたんでしょうに、それなら私から離す必要なんてないじゃない。

まさか状態が悪くなってしまったとか…私が治しきれていないところがあって、それで私が落ち込まないようにとか?

それならばまあ考えられなくもないか、と中に一歩踏み込んだところで、カルマ君の様子がおかしい事に気が付いた。
見ると、カルマ君は自分の黒いパーカーのフードを深く被って、足がそこから動かせない様子。

『……いいよ、私一人で行ってくる。ありがとう』

「…ごめん……ごめんね…っ」

小声で耳打ちすればカルマ君にだけ迷彩効果付きの壁を展開させて、私もフードを深く被り直し、迷う事なくカーテンを開けた。

そこには横になった常態だけれど顔色が良くなったような…

大好きな中也さんが寝息を立てていた。

______ように思えた。


『…ッッ!!?きゃ、ッ…ぁ、ぅ……!!!!』

突如、自分の体に容赦なくふりかかった重圧…たまに私に加えられるような生易しいものじゃない。
下手をすればすぐにでも殺される。

パニックになりながらもこの正体を知っている私は、すぐさま中也さんの異能を解除してその場にへたり込んだ。

……どういう事?
中也さんが…なんで私に、本気で殺しにかかってきてるの?
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