第13章 愛ゆえに
そうと決まれば一直線。
カルマ君の自宅にお邪魔して、送られてきていた荷物の箱を開ければある程度生活に必要なものが纏められていた。
しかしそれは私の私物ではない。
見ただけで分かる、新品だ。
流石に首領といえども人の家には勝手に入れなかったのだろう。
『ほら、やっぱり新しいの…これ、中也さんの同意を得てやった事じゃないんだよ』
「た、確かに同意を得てるわけではなかったみたいだけど………本当にするつもり?」
『当たり前。カルマ君は危ないだろうから椚ヶ丘にいた方がいいと思うけど』
「……いや、蝶が心配でならないからついてくよ」
私を心配するその言葉は本物で、何故だか苦しそうな表情で私を見つめているカルマ君。
そんな顔して…この子は恐らく何が起こったのかをちゃんと聞いている。
けど私には多分教えてくれない…教えない。
それなら自力で行くまでよ。
『ふふ、ありがと…はいはい、ここでこの先程購入してきた物が役に立つわけですが!中也さんに気付かれると思いますでしょうかお弟子さん??』
「………気付かれないんじゃないかなそれは。流石に、うん」
『それならいいや。早速やっちゃえ「って早!?」蝶さんの能力を使えばこんな事も可能になるわけですよ』
どうだといった顔で得意顔になれば、カルマ君は口を開けたまま私を見る。
『……似合わないかなやっぱり?』
「!う、ううん、ちょっと新鮮すぎて…やってみれば印象ガラっと変わるもんなんだね、本当」
『私も流石にこらは初めてだったけどバレないでしょ、これなら』
「んで俺はこのまま行くんだ?」
まあカルマ君だし大丈夫でしょう。
顔が組織内でも割れてるから、寧ろその方が安全だ。
そう、私が考えたものは至ってシンプルなもの。
『じゃ、行きますよカルマ君?覚悟決まった?』
「オッケーオッケー、止めたところで蝶なら多分やっちゃうだろうしもう諦めたよ…でさ、行く前にちょっと言いたいんだけど」
『何??』
「俺だけ蝶って呼んでんのに、そっちはいつまでも俺の事はカルマ君なんだ?」
あ、と間抜けな声とともに口元に手を当てた。
うっかりしてたよ、うん。
『ごめんごめん…じゃあカルマ?』
「……うん、ありがと」
少し微笑んで、私もそれに笑い返す。
また仲良くなれたような気分だ、これは確かに中也さんも呼ばれたいのかも。
