第13章 愛ゆえに
『しかもなんで?なんで私の作ったケーキを食べた直後にあんな…ッ』
「…ポートマフィアの中に怪しい人間は?」
『三人組で活動してた人達が…だけど一人はとっくに拘束してる状態で、もう一人はそっちを裏切って私と中也さんに助けを求めてきた人で……!二人目が統括してる人…?』
そうか、ようやく出てきたか。
背格好からして、片方…銃を扱っていた方がリクさんであるのはほぼ間違いない。
そしてソラさんから聞いていた、あの三人に指示を出していた人物…それが恐らくこの二人目だ。
体格からしてみても明らかに男性であるため、夏祭りで私を撃った人物と同一人物である可能性も大いにある。
『これだったら多分すぐに見つけられる…問題はもう一人の方だから、とりあえずリクさんを捕らえたらまずどこから撃とうか……ああ、窒息なんてのもありか。無酸素状態で白状するまで生き地獄………』
頭の中に描き出される尋問のイメージをポツリポツリと口にすれば、その場の空気が冷たいものとなっているのが少ししてから分かった。
『……ね?余裕ないですし、学校にも来ない方がいいでしょう?…これから私がしようとしてることは全部、本職だった方のもの……正直に言って、ここまでされたら人の一人や二人殺してしまいたいくらいです』
「!!白石さん、それは…!」
『ごめんなさい烏間先生、契約切っていただいても大丈夫ですよ。やっぱりご迷惑をおかけしてしまうと思いますし…それに探偵社の指針に反するような事をこれからしていくつもりなんです。私も恐らくとっくに解雇処分にでもされてるでしょうから』
カメラの映像を巻き戻して止めて拡大し、凶器となった彫刻や銃を写真に撮る。
そしてこの時発生したアラートは恐らく停電によるもの。
セキュリティシステムを強化していた中也さんの執務室に侵入するためのもの。
私が甘かった、まさかそこにこんな風に手を出してくるだなんて思ってもみなかった。
それも含めて、全部私が甘かったせいだ…とっとと自分で調査して、早く相手の息の根を止めておくべきだった。
烏間先生のパソコンからまた色々な操作を経て機械を外す。
けどよかった、中也さんに何か異常が生じたように見られた時に警報が鳴るようにしておいて。
カメラだけでも設置しておいて。
逆に言えば、それでしか役には立てもしなかったということなのだけれど。
