第13章 愛ゆえに
カーテンのこちら側で首領が輸血の準備を整え、トウェインさんが横になる。
「必要なだけ取っちゃって下さい…………後、流石にちょっと目のやり場に困っちゃうんで蝶ちゃんに何か他の服を」
「分かっ…そうだね、分かった。先に服の方を用意しようか。制服じゃあ困るだろうし……服、ある?」
『………これがいい』
ギュ、と再び中也さんの体に抱きつくように顔を埋め、無愛想な返事をする。
「……風邪ひいてる子が無理しないの。制服脱いだのはちゃんとしてて偉いなとは思うけど、流石に下もタイツだけじゃダメだろう」
『これ膝ぐらいまであるからいい』
「ああもう、蝶ちゃんまだ風邪治ってないんでしょ?それならせめて布団に入っておきなよ、中原君の隣でもいいじゃん!」
『…私は一緒に寝る資格なんかないから』
ポツリと言った言葉にえ、という返事が木霊した。
『んーん、何でもない。…とりあえず疲れたからちょっと寝……ッ!!』
無理矢理身体を叩き起して、自分の頬を思いっきりひっぱたいた。
大きく鳴り響いた乾いた音に首領とトウェインさんも、カーテンの向こうの皆も動揺する。
何、疲れたから寝るって。
信じらんない事考えてんじゃないわよ、自分が寝てどうすんの。
中也さんの顔をまともに見ることも出来ずに、ただ呆然と中也さんを見ることしか出来ないくせに。
知識と技術だけはいっちょまえにあるくせして、それを生かすことも出来ずにただ周りに甘えようとしてただけの役立たずのくせに。
椅子から立ち上がってまた出口へと向かおうとした。
しかしカーテンに辿り着きもせず、ストンと身体から力が抜けてその場にへたり込む。
何が起こったのか一瞬理解ができなかったけれど、力を入れようとしても立てない事態にどう対処すればいいのか分からない。
「蝶ちゃん、君…風邪ひいてる上にさっき、うちのマーガレットちゃんにやったのと同じ処置と傷の肩代わりまでしたんでしょ…?そりゃあ疲れたって不思議じゃないよ、聞けば脳まで修復したって話じゃないか…」
『……疲れてないもん…早く現場に行って証拠見つけて、犯人辿って尋問しなきゃ…』
「「「!!!」」」
「気持ちは分かるけど休まなくちゃ!!ただでさえショックだってかなりのものなんだから、ゆっくり…」
トウェインさんに話しかけられたところで思いついた。
あるじゃん、移動方法
