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第13章 愛ゆえに


「ただし、やはり血液が足りない。うちでB型の子の分を使っても顔色が悪い……というか多分蝶ちゃんなんかなら詳しいとは思うんだけど…」

『!…Bが、少ないから……』

ポートマフィアの中でも一応有事の際のために血液のストックは常に用意してある。
普通の医療機関に運びさえすれば、怪我は異能で治したとでもなんとでも言えるから解決するのだろうけれど…そうできない状況下にあるからそれは出来ない。

もしも目を離した隙に、また中也さんが狙われたら?
並の強さじゃ任せられない、側にいなきゃ、安心なんて出来ない。

しかし今、ただでさえそこまで大量にあるわけではない血液のストック…それもそもそも比較的量の少ないB型の分が尽きている。

『なら首領、私が…』

「君はダメだ、今でもだいぶ消耗してしまっている上に人より回復が遅いんだから」

『!!でもそんな事言ってる場合じゃッ』

「蝶ちゃんには他にもしたい事があるだろう」

諭すように言われたその言葉。
それが何を意図しているのか、察しのいい人はもう気付いていた。

「こんな状態の蝶を唆すでない!!正気か!!?」

「唆すも何も蝶ちゃんに以前から頼み込まれていた…これが約束だった」

『………分かりました、それなら今は我慢します…犯人探しが優先です』

「蝶!!お主、少しは休みを…」

必死に止める紅葉さんに笑いかけて平気だよと返す。

見渡してみてもやはり反対の意見が多いということは一目瞭然…しかし絶対にそこは譲れない。

それだけはっきりと目で伝えれば誰も何も言わなくなった。

そしてそこでふとある事に気が付く。

『……あれ?殺せんせーは…?』

「え?さっきまでここに……っ!?どこ行った!!?」

突然いなくなった殺せんせーに動揺するも、それよりもと頭を切り替えて血液をどうするか考える。

私はこれからいくらでも非人道的な事をも簡単にやり遂げてしまえるような人間だ。
正直まともでいられる自信はない。

そんな人間が探偵社になんかいられるか…だから真っ先にそことの縁を切るべきだった。
そんなところにお願いなんて出来るはずがない、虫がよすぎるにも程がある。

それ以外に頼る宛も無ければ縋りつけるような相手も、友達くらいしか思いつかない…だけど皆から血をもらうだなんて、年齢的にも普通に考えればアウトなところ。

どうすればいい?
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