• テキストサイズ

Replay

第13章 愛ゆえに


繋がれたモニターを確認する限りでは、まだ事切れてはいない…大丈夫。

真っ白になった頭をなんとか働かせて、目を閉じたままの中也さんの頬に触れる。
冷たい…なのにあったかい。

触れてみて、そんな変な温度の中也さんの体温を感じ取って、ようやく頭が回ってきた。

「蝶ちゃんもう着いたの!?まさか能力使ってここに来たんじゃ…っ」

『…しよう……どうしよ、う……首領…っ?どうしよう!!?』

泣きじゃくって処置を進める首領に顔を向ける。

「どうしたの!?とりあえず今血を送ってるし、蝶ちゃんこういうの見るのも苦手なんだからカーテンの外に…」

『私のせいかもしれない!!!中也さんが倒れたの…っ、こうなっちゃったの!!!私のせいなのかもしれないの!!!!』

「………誰のせいでもない。あえて言うなれば組織を統括できていなかった…あるいはしっかりと管理の行き届いていなかったわたしの責任だ」

『首領は悪くないの!!さっき私が熱移しちゃったから…っ、首領……ッ』

ギュ、と首領の纏う白衣を掴んで目を向ける。

「!…本気かい」

コクリと頷いて、もう一度恐る恐る中也さんの方に目を向ける。

全身に見られる銃で撃たれた痕跡や、何か鈍器のようなもので殴られたような傷…そして一番酷いのが頭部。

止められるかもしれないと思ったものの、止める程の余裕も無いのだろう。

今この瞬間に息をしているのも奇跡としか思えないような具合…一刻を争うこの状況で、無駄に血を浪費するような手術なんかに持ち込むよりも、もっと手っ取り早い方法がある。

首領をもカーテンの外に移動させ、誰も入れないように…誰からも見られず、誰にも声さえ届いてしまわないように、カーテンの向こう側に壁を張る。

防音出来るものを作ってからすぐに制服を脱ぎきって、下着も外して中也さんの傷を全て確認していく。

状態がじわじわと悪くなっていくのを示しているモニターを少し見つめてから、優先的に治さなければならない部分から順番に…

しかし頭ばかりはこちらが処置を終える前にやられてしまってはいけないため、その上一番酷いそこを真っ先に治し始める。

奥の奥から私の細胞を移植して、処置中に流れ落ちた涙さえもが、この人になら回復の手助けとなってくれる。

意識の無い時に血を大量に飲ませるのは危ないため、自力で治していくしか手が無かったのだ。
/ 2703ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp