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第13章 愛ゆえに


木々を飛び移りながら移動を繰り返して、最高速度で校庭にまで辿り着く。

『は…っ、ハ……!!鳴ってる…っ』

それでも校舎の中に置いてきた“それ”の音は大きなものではなくて、校庭にいる皆もなんとなくでしか聴き取れていなさそうだと遠目から判断した。

そして校庭に一番近い木まで飛び移ってそこから校庭の真ん中に集まる皆…の近くにいる烏間先生の元めがけて、脚に力をこめて一気に飛び移る。

砂塵が舞う中、何事だ何事だとざわめく皆を気にもとめずに、どうした!?と焦る烏間先生の襟元を掴んで、ただただ必死に懇願する。

『お、願い…っ、お願い!!』

「!!白石さん!?いつの間にこんな所に!?プールからはかなりの距離が『お願い烏間先生!!!』!な、なんだ!?どうしたんだそんなに慌てて、とりあえず一旦落ち着いて__」

落ち着いてなんていられるものか。
勢いを沈めることなく、人目も気にせず、呼吸も整えずに続けた。

『お願いします!!!変なデータは見ませんから…っ、今すぐパソコンを貸してください!!!』

「!パソコンか!?分かった、とりあえずロックを外すから、君は一旦落ち着くんだ!!」

『落ち着いていられないんです!!お願いだから早く…っ!?離して立原!!何するつもり!!?』

烏間先生から私を離した立原。
いつの間に私の元まで追いついていたのだろうか。

「離すも何もお前が引き止めてちゃ烏間さんもパソコンが開けねえだろうが!!そういう意味で落ち着けっつってんだ!!!」

『!!!……っ、ぁ…』

動揺して手を緩めた隙に、すぐに外してくる、と超人的な速さで校舎に入っていった烏間先生。

それを確認してから立原は私を離してくれた。

「んで、何でそんな取り乱してんだよ?お前がそんな風に焦るだなんてただ事じゃねえだろ」

『!…急がなきゃ……ッ、立原も広津さんも、首領と探偵社に電話して!!繋がったら私も職員室にいるから、こっちに!!!』

「あっ!!おい待て蝶!説明を……っ」

聞いてる暇も余裕も無かった。

校舎の中、教室の私の机の中で鳴り響く小型の機械を手に持って、鞄の中からケーブルを取り出して職員室に移動する。

すると烏間先生が丁度パソコンを立ち上げ終わったらしく、席を譲って下さった。

『ありがとうございます……っ』

お礼を言って急いでその機械をパソコンに接続した。
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