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第13章 愛ゆえに


ケイドロのルールは簡単、殺せんせーと烏間先生の二人が警察官となり、イリーナ先生も含めた他全員が泥棒となる。

各自の携帯を経由して律が状況をリアルタイムで報告してくれる仕組みになっていて、殺せんせーはハンデとしてラスト一分間だけで皆を追っていくというルールとなった。

因みに一時間以内に全員が捕まらなければ殺せんせーが烏間先生の財布で皆にケーキを奢り、逆に全員が捕まってしまえば今日の分の宿題が二倍にされてしまうそう。

理不尽すぎるルールに烏間先生は怒ってはいたものの、そうともなればこの人も本気を出すし、皆もやる気を出しやすい。
相変わらず上手い人だ。

アメリカンポリス風のコスプレをして牢屋を見張る殺せんせー。
そしてそこで暫く待機する烏間先生をおいて、全員が一目散に逃げ始める。

基本的に修学旅行の時の班ごとに別れて移動を開始し、移動中、皆に合わせて移動しながら、カルマ君と渚君と杉野君…自分の班の男子三人組に、予め頼んでおいた件は大丈夫かと携帯のメモ機能を使って筆談形式で確認する。

するとOKだと三人とも返してくれ、それだけでも今回のケイドロ、泥棒側の勝利を確信した。

後は最悪、私が頑張りさえすれば何とかなる。

と、ここで律からの現状報告により、一気に生徒四人とイリーナ先生、続いて菅谷君までもが捕まってしまったという事が分かった。

牢屋の近くで息を潜めて身を隠していた私達の班は捕まった皆を見ながらどうしようかと会議に移る。

「でもこれってケイドロですよね?それなら…」

「!そうか、牢屋であいつらにタッチ出来れば…!!」

奥田ちゃんの声に杉野君が気が付き、希望の光が差したように思われた。

しかしそれを冷静に判断したカルマ君が言う。

「いやあ杉野…あの音速警官をなんとか出来るんならさあ?とっくに誰かが殺してるって」

こちらに気が付いたのか、サングラス越しにこちらを見る殺せんせー。

「確かに…こんなのどうやって攻略すればいいのさ!?何かいい方法でもないと最強すぎんぞあのコンビ!!」

杉野君の嘆きに、カルマ君がまたしても馬鹿だねえと返す。
そして私の方を指差しながら続けた。

「こっちについてる最強の助っ人の事忘れてない?」

その声に合わせてニヤリと笑みを浮かべる。

そして木から少し体を出して、牢屋に捕まった岡島君にまず存在を気付かせた。
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