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第13章 愛ゆえに


中也さんの声は烏間先生や立原達にも聴こえていたらしく、皆揃って目を丸くしている。
私だって例外ではない。

『い、いや中也さん、何言って…それならいい!遊ばないくらいの事いいから、やっぱり大人しくしとくから…っ』

咄嗟に出た素直な気持ち。
しかしここで、思いもよらぬ言葉が中也さんから発せられた。

「いいからしたいと思った時にしておけっつの!!お前は今俺に移しさえすれば、たったそんだけのことでしたい事が出来る状況なんだぞ!!」

『でも、だからって中也さんがしんどく…』

「中学生の授業一時間分くれえの熱がなんだよ、どうってことねえっつうの……気にすんじゃねえ。そういうところで遠慮すんのは俺は許さねえ」

やけにリアルに伝わる怒ったような雰囲気にビクリとして黙り込む。

『え、遠慮とかじゃなくってさ…?ほ、ほら遊びくらいならいつでもまた__』

「____百九十…いや、百八十九だ」

『!!!』

私の様子がおかしいのを感じてか、皆が今度は私に目を向ける。
ダメだよ…ずるいって、それは。

「お前の事を信じちゃいるが、何にせよそん時には何かが起こる…それに、いつどうなるか分からねえってのはお前が一番よく経験してきてんだろ」

『………いいの、本当に。中也さんちゃんと安静にしてる?』

「ああ、勿論。動くような仕事は夜しか入ってねえし、なんなら部下に手伝ってもらうのもたまにはいい」

『…じゃあお願い……お願いします』

微笑ましそうな声でおうよ、と返事をする中也さん。
ナノレベルの小さな小さな扉を作って、それを中也さんの元に繋げる。

そして扉を開き、そこを通してお互いの体温を入れ替える。

スウッと楽になっていく…突然怠さや暑さや地味な寒気など色々なものから解放されて、ガク、と膝から崩れ落ちる。

地面に衝突する直前に立原に体を支えられ、なんとか体勢を立て直す。

『……!中也さん、無事!?』

「だから、お前は俺を誰だと思ってんだっつの…こんなもん痛くも痒くもねえよ、なんも気にしねえでとっとと餓鬼は餓鬼らしく遊んでろ、阿呆」

『!!餓鬼じゃないもん!!!』

「ははっ、その意気だ!そろそろそっちも始まる頃だろ?俺も続きすっからまた終わった頃に電話かけてこい」

中也さんの声に安心して扉を消し、ありがとうと伝える。
どういたしましてと響いて電話は途切れた。
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