第13章 愛ゆえに
メールの内容は秘密…というよりもほぼほぼ私の自慢話や惚気話らしいので、それを聞いた途端に聞く気をなくして知らないふりをした。
うん、知らない、何も知らない。
だけど心の中でだけ優しい優しい蝶は言っておくね、ドンマイ立原、頑張れ立原。
立原はいい子って皆知ってる。
「憐れみの目線向けるくらいなら何とかしてくれこの人…っ」
『ごめん、無理。中也さん私のこと好きすぎるから寧ろ私もたまに困ってる』
「お前も惚気けてんじゃねえよ!!なんで俺が双方から惚気話ばっか…くっ、」
『立原も誰かとお付き合いしたら??銀さんなんてすっごい美人さんだと思うしいいと思う』
「え、あいつ美人なのか?」
「『えっ』」
広津さんと声が重なった。
もしかして見たことないのかこの人、銀さんの顔ちゃんと見たことないのねえ。
『勿体ない!!!すっごい美人さんなんだからね!?樋口さんとは違うタイプだけどなんて言うんだろ、大和撫子タイプの……あ、樋口さんは別に好きな人がいるからダメよ!?』
「姐さんも銀も狙ってねえよ馬鹿!!!」
「え、何何〜?立原さんが二股してる話??」
「立原さんって恋愛経験無さそうな人だと思ってたけど意外!二股かぁ…」
「してねえしするつもりもねえっつの!!!」
そもそも俺の中の美人の基準はそういうんじゃねえんだよ!!と大声を出す立原に、じゃあどういうのがいいの?と首を傾げてそちらを見る。
すると少しだけう゛、と言葉を詰まらせてから私に目を向けて冷や汗を流し、目を逸らしながらしどろもどろ説明し始める。
「も、もうちょい身長あって…前髪は長めなのを横に流してて、髪は長ぇままでもうちょい大人になった奴」
『え、もうちょっとって誰が基準なのそれ?前髪短い人ならやっぱり樋口さん??』
「だから違ぇって!!!」
バッと私から何故か離れて顔を真っ赤にして恥ずかしがる立原。
何だろう、ちょっと面白くなってきた。
『でも立原の事だから私みたいな小生意気なのは嫌いでしょ』
「ああ!?何でも言える奴が一番…!!!……あああ!!?」
『髪は長いまま…!!もしかして鏡花ちゃんとか!?立原まだそんなに歳離れてないもんね!!』
「違ぇっつうのこんの馬鹿…!!!」
何故かキレてくる立原に混乱していると、周りは皆して生暖かい目をして頷いていた。
どういう事なのこれ。