第13章 愛ゆえに
「ちょっ、落ち着け二人共!!」
「プリンに感情移入してんじゃねえよ!!?」
「お前に怪我でもさせたら俺が中原さんにドヤされんの分かってんのかよおい!!?」
カエデちゃんは寺坂君に、私は立原に窓から引っぺがされる。
それでも腕を伸ばして二人揃って喚き続けた。
「壊すために作ったんだろうが!!!」
『ヤダああああああ!!!!』
「ずうっとこのまま、校庭にモニュメントとして飾るんだああああああい!!!」
「「「腐るわ!!てかそれ誰かも言ってた!!!」」」
しかしそこで、嘆き続ける私達を大人しくさせたのは…
「ふう、ちょっと休憩」
巨大プリンを食べ進める殺せんせー張本人だった。
突然後ろに現れた殺せんせーに皆振り向くと、プラスチック爆弾特有の匂いに気づいてしまい、それを外してきたのだと殺せんせー。
成程、プリンの中で食べ進めていて段々分かってくるレベルの嗅覚か…やっぱり中々侮れないな。
次からは先生の鼻にかからないような成分の爆弾も研究してみて下さい、と言われて竹林君は少し落ち込んだ様子。
だけど大丈夫、やり続ければ、竹林君ならきっと出来る。
能力って形で私が手を貸しても良かったのだけれど、それじゃあやっぱりなんだか味気ないし、皆も達成感に欠けてしまうだろう。
だからこれからも、私は恐らくこの先生を殺すために自分の能力は使わない。
まあ、殺し自体をもうしないって約束してる上に私の仕事は本来護衛任務だから。
無駄な人殺しは探偵社の意向に反するしね。
「そしてプリンは、皆で食べるものですよ!」
瞬時に全員の手に配られた、綺麗な部分のプリンが乗せられた器。
立原や広津さんの分まで配られてる。
「ただし、廃棄卵を使うことは本来、社会のルールに反します。そこで、次回の公民の授業でそれについて考えてみましょう!」
「「「はーーーい!」」」
結局全部授業にしちゃうんだな、この先生は。
「なんだあいつ、教育バカか?どっかの親バカ兼恋人バカのすっげえかっこいい人見てる気分だわ俺」
『立原にバカとか言われたくないと思う』
「てめえ人を何だと思ってやが…中原さんからまた連絡来てる」
『中也さんから?あげないけど…なんならここで痛い目見とく?』
「取らねえよ!!!」
反論しつつもちゃっかり美味しそうにプリンを食べている。
流石だ、本家立原。