第13章 愛ゆえに
カアア、と熱の集まった顔を押さえてその場にガクッと座り込んだ。
「!?白石!!?」
「え、蝶ちゃんどうしたの!?」
前原君と倉橋ちゃんの声が聞こえ、気がつけばたくさんの視線が集まってきているのを感じる。
ああ、ダメだこれは、心臓に悪いし昨日から妙に中也さんが余裕そうで…なんていうかいつにも増して一々大人っぽくて敵わない。
余裕ないなあ私、前までだったら私の方が引っ掻き回してばっかりって状態だったのに……子供の演技さえできないくらいには余裕が無くなってきてる。
「あー…まあ大丈夫でしょ、多分いつもの中也さん病」
「照れてるだけやねあれは、可愛い子♪」
『可愛いとか今言わないで中村ちゃん…!!』
「「「何それ可愛い」」」
バッと顔を上げるも中村ちゃんにからかわれ、それに反論しても皆から揃ってからかわれ…
何も言えなくなって口をパクパクさせ、そのまままた蹲った。
「はいはい!蝶ちゃん戻ってきて〜、プリンも最終工程に入るよー!」
『!カエデちゃん!!天使!私の癒し!!!』
「わわっ、蝶ちゃん!?うん…巨乳に言われてるのに悪い気はしないね、不思議」
「「「基準はやっぱりそこなのか」」」
気を取り直して作業開始。
まずは冷却用のパイプと冷却装置から水を抜き、抜き終わったところでそれを最初に抜く。
そして次にプリンと型の間に空気を送り込んで、ゆっくりと離す。
型を外すのも大掛かりだけれど、なんとか形状を保ったまま型の取り外しは成功…そのまま形が崩れず、表面が滑らかになるようここから先は大人数で仕上げ作業だ。
『ゼラチンと寒天ならゼラチン派だけど、やっぱり形保たないとっていうのは大きいんだよなぁ…』
「崩れちゃったら意味無いもんね…」
カエデちゃんとため息を漏らしながらも表面にゼラチンと寒天を薄く塗り、全体をコーティングしていく。
そしてそれが終われば、最後の仕上げ。
てっぺんに作っておいたカラメルソースを流し、それをバーナーで思いっきり熱する。
それが終わってカラメルソース組が下に降りてきたところで、皆がゴクリと生唾を飲み込んで完成したそれを見上げた。
「「「『…で、出来たあーーー!!!!』」」」
「やっべえ、超美味そう!!」
「あの下に爆弾ある事忘れちゃうねえ!」
皆反応は様々…だけど、上手くいってよかった。