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第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ


『っと…』

扉を渡り、木の枝に着地した。
理由は、今日からは校舎のある山の麓に扉を作り、木々を飛び移りながら校舎まで走っていくという、自己流フリーランニングのメニューを取り入れるためだ。

『体力付けて、洞察力と反射神経鍛えなきゃ…』

私は自分が所属していたことから、ポートマフィアに肩入れしている部分は勿論ある。
しかし、それは中島さんや探偵社を、ポートマフィアの刺客から守らないという理由にはできない。

中途半端な立場ではあるが、私はどっちも大好きだから、どっちが傷付くのだって嫌なのだ。

と、勿論そういった経緯も含まれるわけだが……今は何よりも、再会したあの人の隣に立っても恥ずかしい人間になりたくない、という思いが強い。

中也さんは強い。私の助けなんて必要としないくらいに。
でも、だからこそ、頼りにされるように強くなりたい。

能力に頼ってばかりじゃダメ。
実際、横浜の街から離れたら、こんな能力人前じゃ扱えないんだから。

『これなら朝と放課後と、いけるよね…これ、すっごい“久しぶり”だから、“今回”体から感覚抜けてないか心配だなぁ……』


なんて一人考え事をしていると、少し離れたところから人の気配がした。
きっとE組の皆だ。
私は何事においても、学んだり鍛錬したりしている姿を人に見られるのが嫌いだ。

だから、気配がした時点でフリーランニングを始めた。

『うん、大丈夫、鈍ってない』

木々を飛び移りながら…“何回か前の事”を思い返しながら、寂しく思いつつも、それでも前を向いていかなきゃと自分を鼓舞する。

きっとこれも、私が強くなるために誰かから与えられた力なんだから。

強く、ならなくちゃ。
中也さんの隣にいられるように、皆に何かがあった時に守れるように。

……もう、中也さんがいない場所に連れ去られなくても済むように。


実は、朝の中也さんの様子がおかしい事には、何となくだが気がついていた。
冷や汗が凄かったし、部屋を覗いた時、なんだか凄く怯えていたようだったから。

私を呼んだ時だって、すごく焦った様子で。

中也さんの中での私の存在というものは、そのくらい大きなものであったのかと感じ取った。ああ、同じだったんだ、と。

しかしそれと同時に、それならば離れてはいけない、中也さんにあんな顔をさせてはならないとも思ったのだ。

『強く、なるよ』
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