第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「弁当持ったな?」
『持ちましたよ!』
「制服はそれでサイズ大丈夫だな?着ていけるな?」
『それさっきも聞かれたと思うんですが』
「知らねえ野郎には付いていくなよ…知ってる野郎にも付いていかずに出来るだけ寄り道せずに帰ってこい!ただしどこかに行きたいとか遊んで帰るとかなら俺に連絡を入れてからならよし!」
『ああもう分かりましたから!私これから探偵社に顔だしてから登校するんですから、もう行きますよ?いいですね!?』
朝ご飯を食べ終わって学校へ行く準備を終えてからずっとこの調子だ。
心配症なのか、まるで独占欲の強い彼氏…というより親?のような発言を繰り返す中也さんだが、それでも私の自由は取り上げないといったちんぷんかんぷんな指示。
指示…よりかは、約束事というかなんというか。
私の事を思っての事なのだろうが、分かっていただけるだろうかこの過保護っぷりを。
「あ、ああ……あ、そういえば」
『中也さん、行ってきますね』
「今日は…って、蝶!おい!!」
こんな具合に、ずるずると話が終わらない。
相手が中也さんなのでとても心が痛むのだが、流石に余裕を持って行きたかったため、やむを得ず自分から話を切ることにした。
扉を抜け、探偵社へ着くと、そこには誰もいなかった。
『誰もいない……ああ、さっき中也さんのお話を途中で切ってしまった蝶への罰なのかしら?ごめんなさい、でもこうしなければ蝶は…』
「どうしたんですか?白石さん」
『ひゃああ!!?』
一人懺悔を口にしていると、いきなり声をかけられた。
やばい、変な独り言聞かれた!ヤバイ奴だって思われたああ!!
「おっと…そんなに驚かないでくださいよ〜、僕ですよ?」
『け、賢治さん…お、おはようございます』
「はい、おはようございます!ところで白石さん、さっきは一体一人で何を…」
『ああああ何でもないんです!と、とりあえず学校行く前に誰かに顔を見せに来ただけだったので、私もう行きますね!?また放課後来ますから!!』
賢治さんでよかった、きっとうまく誤魔化せる。
「あ、はい!お気を付けて〜」
『行ってきます!!』
よし、多分大丈夫、寝たら忘れてくれる!
国木田さんとか乱歩さんとか、女性陣の誰かじゃなくって本当によかった。
〜一方、その頃の中原〜
「今日、転校生来るんだろ…?」