第13章 愛ゆえに
「正直に言えば俺もちょっと焦ってる…そんな状態での頼みなんだが」
『いいよ。元々私はしてって言ってたんだから…子供が出来ちゃう心配もないなら、好きなようにして下さい』
「………俺が初めてもらっていいのかよ」
『私が中也さん以外の誰に渡すっていうんです…寧ろ、嬉しいから』
ピクリと中也さんが反応した。
どうしてか、それは至極単純なこと。
「お前…」
私が泣いていたからだ。
どうしようもない嬉しさがこみあげて、抑えきれなくなってしまった。
『初めてなの…女の子としてここまで一緒にいてくれる人……初めてだったの』
「……言い過ぎだろ、もっと良い野郎もいただろうに」
『そんな事ない、中也さんみたいな人初めて…』
「あーあー、そんな泣かれちまったらまたキスしたくなっちまう」
まだやっぱりナカもキツいから、慣らすのに時間はかかりそうだけどなと言われて、唐突に思い出した中也さんの言葉。
『…ねえ、キツい状態でするとどうなるの?』
「しねえからな、俺は絶対ぇお前が慣れるまでしてやらねえからな」
『もししたらどうなるのって』
「……すっげえ痛ぇらしいから、もうちょい楽に受け入れられるようになるまでは我慢しとけ」
ようやく中也さんが私を気遣いすぎてた理由が分かった気がした。
指二本でも中也さんの指を締め付けるここが、それを楽に受け入れるためには本当に慣れなければならない。
慣らさなければ、私が痛がってしまうから。
思えばこの人の指が入ってくる時は、毎回別のところで感じさせられて、蜜をいっぱい溢れさせてからだった。
本当、どこまで優しいんだかこの人は。
『…中也さん好き』
「なら俺は大好き」
『じゃあ愛してる?』
「……愛してる」
唐突に色っぽくなった声にビクリと肩が跳ねた。
それと一緒に再び敏感なところに触れる中也さんの指にゾクゾクしてしがみつく。
『ぁ…ッ、今日まだ最後までしないんじゃ……っ』
「慣れさせねえといつまでも出来ねえからな。了承も得た事だし…今日は死ぬほどしてほしいみてえだし?」
『い…ッッ…!!!』
今までに経験したことのない質量感に、歯を食いしばって身体を硬直させる。
声が響いたのと同時に中也さんの指がズッ、と引き抜かれた。
そうか、痛いってこういう事…
思っていたほど甘いものではないらしい。