第13章 愛ゆえに
浮かび上がった数字は190…その数値がどのような単位なのかを私は知らない。
けれど首領と能力を使った相手は目を見開いて、口を閉じられずに固まってしまった。
「は…?あ、あんた……何か大病でも患ってんのか?」
『え?私病気なんて何も…』
「……蝶ちゃん、この子の出す数値はね?その人の寿命をそのまま反映してくれるもの…事故で若くして亡くなる人なら事故に遭う日までをカウントするといったように、外れる事は決してない本当の寿命が浮かび上がる」
『!それだったらこの結果は____』
有限なもの。
後190年くらいなのか…それなら誰かと半分にすれば八十五年分ずつになる。
中也さんと分けたとしても、もう苦しむ必要なんてない。
そう思って、舞い上がりかけた。
有限だと分かっただけで、しかもそれがそこまで長くはないものだと知れて、嬉しかったはずなのだ…
「____君は、あと百九十“日”で死んでしまうということだ」
「「!!?」」
『…………どういう、事…?』
何よりも私が驚いてる。
百九十日で死ぬ?私が?
「何かの病気や事故なんかで死んで、そこから奇跡的にまた心臓が動き出して生き返るってケースもあるにはある…が、そういう人間の寿命のカウントなら、ちゃんとその生き返った先にある本当の死までのカウントになってる」
『百九十日って…それも生き返りがカウントされない…?わ、私がそんなに短い間に?』
「だからさっき聞いたろ、大病でも患ってんのかって」
『!!』
あまりにも……長い年月を生き続けた私にとって、あまりにも短すぎるその時間。
百九十日……期間にして、およそ半年と少し。
白石蝶が死んでしまうのかと思いもしたが、生き返りがカウントされないのであれば…もしかしたら、本当に死んでしまうのかもしれない。
終わりが、来る?
そんなに早くに、私は終わってしまう?
思わず目を向けた先は中也さんの方。
どうしよう、死にたい死にたいって言い続けてたせいなの?
あんなにも死にたかったっていうのに……私、大人になる前に、中也さんとバイバイしなくちゃいけないの?
『嘘、だって私、事故とかじゃ絶対死なない…怪我なんかじゃ死なないし、誰かに殺されるなんてありえない!自殺だって出来ない、のに……っ?』
首にかけた大きい方の指輪が、胸元で小さく揺れたような気がした。