第13章 愛ゆえに
カエデちゃんと二人で指揮を執り、烏間先生含める防衛省の皆さんのおかげで設置された巨大プリン製造装置を上手く活用しつつ、大人数でのプリン作りが始まる。
校庭に作るものであるため、私もカエデちゃんも大好物のとろとろプリンではなく、形状重視のぷるぷるプリン…ああ、考えただけでもあの甘い風味が口の中いっぱいに広がって…
「『ぶっちゃけ私も食べたい!!!』」
「「「言うと思ったわスイーツコンビ!!!」」」
カエデちゃんと被った声に一斉に突っ込まれたけど気にしない。
甘いは正義、エリスちゃんだってそう言うじゃないか。
「でも正直、今まで後方支援に徹してた茅野が率先して計画立ててんのもびっくりだよな」
「しかも白石が自分から計画立てるなんて初めてなんじゃないか?」
千葉君の目線に気が付いてそちらを向くと、何人かから視線が刺さる。
『元々カエデちゃんが思いついて…巨大にしても崩れないようにするために色々と方法を挙げていく内に、いつの間にか二人で最後まで考えついちゃって』
「え、待って?じゃあこのゼラチンと寒天の使い分けとか冷却システムとか…」
『味付けはカエデちゃんが考えて、小さいサイズでの縮小実験なんかは一緒にしたんだよ?生クリームとの比率は理論だけじゃ心配だったから、時間そんなに作れなかったけどなんとかね』
「俺付き添いでめちゃくちゃプリン食わされたからな」
何か文句でも?と立原に聞き返せばいえ、涙が出るほど美味しかったですと即答された。
『ならよろしい』
「「「頑張れ立原さん…」」」
「うるせえ!!同情するなら蝶からの慈悲をくれ!!!」
『今日は立原の分もケーキ作ってきたから機嫌直してよ…』
「え、マジでか!?うおおお俺は信じてたぞ蝶!!!いくらでも扱き使われてやんよ!!!」
「「「あの人も中々ちょろいな」」」
唐突にテンションの上がった立原を放ってプリン液の注入と冷却を進めていく。
着々と進んでいく夢の巨大プリンに目を輝かせていると、烏間先生が私の元へとやって来た。
「それにしても、本当にこんなものが出来るとは…発想も発想であれば技術も技術、茅野さんと白石さんのコンビというのも末恐ろしいものだな」
「この装置の設計とかプログラミングまでこなしちゃうんだもん!蝶ちゃん本当凄いよ!!」
「その資材運ばされたのも俺なんだけどな!!!」