第13章 愛ゆえに
翌日、自宅で目を覚ませば熱も下がりきってスッキリとした気分で制服に着替え…__
『___ックシュ…!』
られはしなかった。
「ダメだ、絶対ぇダメだ」
『い、いいじゃない!一品だけでも「そう言いつつ三品作ってんだろお前は!?弁当作り禁止!!大人しくしてろ病人は!!!」あ、それ途中!!』
着替えに移行する以前の問題だ、フライパンと菜箸を無理矢理取り上げられた。
くしゃみさえ出なければ…
「ったく、お前それで学校行って熱が三十八度越えたら即早退だからな!?すぐにでも帰らせるよう立原にも広津さんにも見張らせとくからな!!?」
『わ、分かっ……ッ、…た』
「咳は昨日より出てんだからマスクしていけ可愛いなあおい!!!」
『はぁ、い…ッケホ、っ……』
可愛いの発言の意味が全くもって分からなかったのだけれど、とりあえずマスクだけはちゃんとつけた。
なんでだ、三十七度台にまでしか下がらない熱に昨日よりも頻度の増し始めた咳…どういう事だこの面倒な風邪は。
さては変なものでも盛られたか私?
普段なら風邪なんか、嬉しい事あっただけでも治っちゃう…こともあったかもしれないくらいなのに。
制服に着替えようと部屋着を脱いで、シャツを羽織ってボタンを止める。
それからタイツを履こうとしたところで、グラリと身体が傾いた。
よたつく程度に踏ん張れもせず、そのまま自分のベッドに向けてボフ、と…
『____ッ〜〜〜った、ぁ…!!!』
「なんだ今の音はァ!!!?」
いけばよかった。
残念ながらそんな風に上手くいくわけはなく、寧ろ床に身体を強打した上にベッドのフレームの角で何箇所か打ち、なんとも間抜けな格好で床に突っ伏す羽目になる。
バタバタと走って私の部屋の扉を勢いよく開けた中也さんに怒られる、覚悟を決めた時。
「お前っ、また変なとこ打っ……て…………あああ!!?」
『へ…ッ、な、に……っ?…………!!!?や、ッ…早くあっち向い…!!』
顔を一瞬で赤くした中也さんの目線を辿っていって気が付いた。
立ったままタイツを履こうとして失敗して、そのまま変な体勢で床に倒れて…
下着が丸見えな状態で、しかも朝だなんて明るい時間…何にも覆われていない素足を見られるのが恥ずかしい。
下着なんかよりも、恥ずかしいのはそっちの方だった。
『や、だ…み、見な……いで…ッ』