第13章 愛ゆえに
暫く続いた花火が終わってから部屋の照明を点け、余韻に浸っていたころ。
私の携帯に通知が入り、そういえば今日は一日放置したままだったなと思い出す…そしてそこで、大事な事を思い出した。
『ああ!?』
「な、なんだ!!?」
『ど、どうしよう中也さん!!私今日朝寝てばっかりだったから…が、学校に連絡入れてない!!!』
「俺が烏間さんに入れといたから落ち着けお前は!この職業病!!」
中也さんが連絡を入れてくれたという事に安堵して、よかったと胸をなで下ろす。
『…職業病?』
「学校には保護者が連絡を入れるというシステムがあるんです」
『し、知らなかった…!』
「お前マジで世間様のためにいい社畜やってるよな」
探偵社はブラックじゃありませんと言い返すも、まあまあなグレーゾーンにあるという事も否めずそれ以上盛ることは出来なかった。
確かに世間様のためになってはいる上、任務に徹してもいる。
たまたま入った会社でまさか私が人を助ける仕事をまたする事になるなんて…
『……今は仕事より学校メインになっちゃってるけど』
「探偵社にも学生のバイトがいたろ?いいじゃねえか別に」
『そんなもの?…中也さんは私くらいの歳の頃にしたかった事ってないの?』
聞いたところで中也さんがピクリと反応した。
あまり触れない方が良かっただろうか、この人もこの人で、小さい頃は苦労してきた人だから。
「俺は……一目惚れしちまった女探すのに必死だったよ」
『!何その話?聞いたことない』
「…お前からしてみたら複雑な話になるんじゃねえかと思ってよ」
『中也さんの一目惚れって気になるもん』
頭を少しかいてから、中也さんはあんま考え込むんじゃねえぞと前置きを入れて、思い返すようにして話し始めた。
「俺がまだお前くらいの歳で、ポートマフィアに入りたての頃の事だが…東京の方に任務で出てた時に、ちょっとしくじって怪我しちまった時があったんだ」
『中也さんが怪我?』
相手は勿論殲滅したらしい。
しかし少し深めの傷で、とても動けるような状態ではなかったんだとか。
「そんで路地みてえなところで座り込んで朦朧としてたらよ、そこにその女がやって来たってわけだ」
『へえ、それで救急車呼んでもらったとか?』
「いや………その場で、その女は俺の傷を治してどこかに行っちまった」
『へ…?』