第13章 愛ゆえに
バッと中也さんの方を向いて何事だと焦る…が、中也さんは気にも止めていない様子で、私の方しか向いていない。
『ちょ、中也さん…?今すごい爆発音が……ッ!?ほら、またっ』
ドン!!!と何度も大きく響くその音に反応しない中也さん…それどころか、どことなく余計に嬉しそうになっている。
「ちょっと静かにしてろって…照明暗くすっから掴まってろ」
『へ!!?暗くって…!!……中也さ…っ!』
顔を埋めて外を見ないようにしがみつけば、周りが暗くなったのが感じ取れた。
どうしてだ、いつもならベッドライトは絶対に消さずにおいておいてくれるのに。
なんて頭をぐるぐるさせている間にも、爆発音は響き続ける。
なんで中也さんは平気そうなの?
なんで、こんな時に部屋を真っ暗にしちゃうの…?
腕を震わせて抱きついていると背中を撫でられて、カチャ、と小さく音が鳴る。
何かと思えばすぐ隣の壁に付いていた大きめの窓が開かれて、爆発音がより近く感じ取られ…
爆発音…それを聞いて、そして窓が開かれた事によって気が付いた。
『火薬…だけじゃない。何これ、なんか久しぶりのにおい…?』
「ははっ、やっと気付いたかよ。爆発っちゃ爆発だが……いいもんだぜ。外見てみろよ」
『や、ッ…だって中也さん暗くして……』
「そりゃあ折角の灯りを引き立たせたかったからな」
折角の灯り
そう言ってからもう一度見てみろよと言われて、恐る恐る目を開ける。
すると明るい光が外から差し込んで、大きな音と一緒に様々な色の光が視界に入った。
何事かと思って外に目をやって、そこでようやく気が付いた。
爆発…そんなものじゃあない。
やっと、中也さんが笑っていた意味が分かった。
『………花、火…?』
「そうだ、これはまだ見せられてなかったからな」
『!それでさっき立原達に…』
「風邪でも誤魔化せてなかったか、流石だ…んで?ポートマフィア製のサプライズ花火はどうよ?」
サプライズの花火、一度だけそうやって花火を見た事があると、この人には話した事がある。
最初の世界の仲間と一緒に見た…それに、私を仲間と呼んでくれた人達と別の世界でも見た事のある、花火。
『綺麗……』
突然フイ、と顔を背けた中也さんに振り向いて首を傾げる。
『中也さん…?』
「…綺麗だ」
『!うん、すっごい綺麗!ありがとう!!』