第13章 愛ゆえに
「すんません首領、お騒がせして」
「いやいや、僕の方こそ無理に聞いてしまって悪かったね……で、中原君。ポ、ポートマフィア抜けたりしないよね??」
「!……こいつに何もねえなら、俺は今まで通り、組織のために尽くしますよ」
「それはよかった、一安心だ!あーもう本当に怖かったぁ…蝶ちゃんもごめんね?怖がらせちゃっ……蝶ちゃん?」
ビク、と肩を震わせて何ですかと勢いよく聞き返すと、様子がおかしいと言われる。
風邪で頭がボケてるからか、中也さんの言ったように本当に熱がまたぶり返してきてるからか、妙に隠しきることが出来ない。
『……なんでもない』
「「熱の時の口癖でバレバレなんですが」」
『!?な、だから何でもないんですって言って……っ!』
中也さんの手が頭に触れかけたのを、咄嗟に後ずさって避けてしまった。
あれ、何してんの私…なんで中也さん相手に避けてんの。
目を見開いてこちらを見る中也さんと首領に目を合わせられなくなって、ぐるぐるした頭を両手で抱えてその場に蹲った。
「ち、蝶…?」
『や…めて、っ?……捕まえないで…ッ、痛い事しないで…』
「!!中原君、蝶ちゃんに何かしたのかい!?それとも人質にするって言ったのがやっぱり怖かった!?大丈夫、ここには君に酷いことをするような奴らはいない!!!」
首領の声に少し顔を上げて、本当に?と掠れた声で聞き返す。
「ああ、本当だ!!だから安心して___」
『蝶の事、監禁なんかしない…?もう、痛いのしない……ッ?』
「………ああ、しねえ。約束する…ごめんな、それは俺が悪かった……怖かった、な…」
気を付けてたつもりだったのに、と自分の手を見つめる中也さんを恐る恐る見つめて、ゆっくりと手に触れる。
『…ごめん、なさい……』
「……その謝り癖はどうにかしろ、今回のは本当にお前は悪くなかったんだ…俺の事考えてくれてただけだったんだ」
ふるふると首を横に振って、中也さんの手を握りしめながら続けた。
『中也さんの事ちょっとでも怖がっちゃった蝶がいけない…の……それで、カッとなっていっぱいいっぱいになって…っ』
「阿呆、怖がらせた俺が悪かったんだよ。お前相手にしていい事じゃなかった…気を付けてたはずなんだがな」
『…ちゅーして中也さん』
背伸びして顔を上げると、頬に手を添えて中也さんがキスをしてくれた。