第13章 愛ゆえに
私が答えあぐねて中也さんから顔を背けていれば、首領が勝手に話を始めてしまう。
「いやあ中原君、分かりやすいじゃあないか。蝶ちゃんが本気になる時なんて、どんな時なのかは君が一番分かっているだろう?」
「で、ですが確かに蝶は自分が一番欲しいものだからと…」
「半分正解。でも分かってないねえ、いつもの事だよ」
『ちょっと首領、別に話さなくたって…!!』
これて沈まる話を話さないで訓練室が壊れちゃたまらないからねと笑われて、何も言い返せなくなった。
寧ろ少し心が痛む、ごめんね首領…あと地味に立原も。
「うん、まあ珍しいタイプの夫婦喧嘩だね。結局蝶ちゃんも中原君と同じで、君に無理をさせたくなかっただけなんだよ」
「!どういう……?」
「自分の命が永遠のものでさえ無くなれば…それこそ中原君や僕なんかみたいな量の寿命にまで縮められれば、君を自分と同じ身体にしなくても済むだろうって考えだよ」
蝶ちゃんはよく出来すぎた子だからねえ
中也さんはキョトンとしたまま私の方に顔を向け、戸惑ったような顔になる。
「え、お前一番欲しいものって…」
『……中也さんに同じような身体になられない解決法があるんなら、それが一番いいんだもん』
「ほら、これ聞いたらちょっとは冷静に話し合えるんじゃないの。それに言ってくれさえすれば、僕にも寿命を操る異能をもった知り合いは何人かいるって言っただろう?」
「『!!!』」
首領の方にバッと二人して振り向いた。
「その中に一人だけ、絶対に僕に逆らわない人間がいる…残りの寿命だけでも確認してもらいに行ってみるかい?」
『……見れる、んですか…?』
「数値化して見る事が出来るらしいからね。それ以外の人間はまあそこまで信頼していないから、彼に頼むのが一番だろう」
『ふ、普通の値にする事は…!?』
「流石に寿命を奪う能力では無いからね…失敗して能力の効能が消えてしまうか、能力を発動させた人物が死ぬかのどちらかだよ」
少しそこには気を落とした。
しかし上限があるのか無いのかを確認するだけでも十分だ、それにソラさんから聞いた話とは少し違う異能力らしいし、今回の敵とは別の人物なのだろう。
「…確認するだけにとどめなかったら、俺がそいつを殺す許可をいただけますか」
「ああ、許可しよう。寧ろ頼むよ」
『……ありがとうございます…っ』