第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『え、…き、昨日も一緒の布団で寝ましたよ?』
「昨日はまあ、一応二人分の布団敷いて寝ただろ?それにほら、お前離れてた分なんか俺に免疫ついてなさそうだし、年頃の女が男と一緒に寝るのは嫌なんじゃねえのかと思って」
確かに免疫は薄れた。
それも恐らく、自分が成長して、中也さんの男性らしさを特に意識するようになったから。
しかし驚いたのは中也さんのその不思議と細かい私の分析にではない。
『年頃の女……って、相手は私ですよ中也さん?』
「お前だから余計にだよ、普通男と一緒に寝るだなんてこと、自分から提案したりする奴あんまいねえだろうし…」
中也さんが、恐らく初めて、私をただの女の子の白石 蝶として見てくれている。
『私、全然気にしませんよ?』
「全然気にしねえって……まさか他の奴らと一緒に寝てたりしねえよな!?」
突然肩を掴んで揺らされる。
いきなり過ぎて肩を少々ビクつかせはしたが、真っ直ぐ目を見てそれに答える。
『私が中也さん以外の誰と寝るんですか?…あ、でもこの前色々あって太宰さんにはいてもらったか』
「あ?今なんつった?」
あ、やば。
『あ、あのですね、これは私からお願いしただけであって、別に太宰さんが無理矢理添い寝しに来たとかいうわけでは…』
「お前から誘ったんだな?無理矢理じゃなかったのはよしとしよう、でもなんでよりにもよってあいつなんだよ!」
青筋を浮かべて口を引き攣らせる中也さんからは、とんでもなくドス黒いオーラが溢れ出ている。
『だ、だって太宰さんしかいなかったからっ……あっ、』
言うつもりがなかった事まで口に出してしまい、思わず口を手で押さえた。
「あの野郎しかいなかった?どういう事だよ、まさか誰かと一緒じゃなきゃ眠れねえってわけじゃあるまいし…」
呆れたような口調になる目の前の彼に、とても胸の中が締め付けられる。
そう、今となっては当たり前のようなこの日常に戻ってこられた。
でも、そうじゃないでしょう?
『……私、昨日中也さんに会うまで、太宰さんしか頼りがなかったんだよ?勿論普段誰かと寝たりなんかしてないけど…でも私、中也さんに会うまでずっと、一人だった』
中也さんの話なんて武装探偵社じゃ相談出来っこない。
それでも、自分が大っ嫌いな人の話だとしても、太宰さんは真剣に話を聞いてくれた。