第12章 夏の思い出
「い、今のは…?わ、私本当にそんなの知らな……」
『分かってますよ、ソラさん演技下手ですから。盗聴器仕掛けられてるままじゃ、お話したいことも話せないでしょう?』
「下手ってお前、容赦ねえな」
『気付きもしなかった人は黙ってて下さい』
ジロ、と視線を送ればうぐ、と痛いところを突かれたのか大人しくなる中也。
『で、そのお話とやらを中也と私にしたい理由は?正直に言って思い当たる節も無ければ、仲がいいわけでもなかったはずですが』
「……お二人の強さは身に染みて味わっています。強い方にしか相談出来ない事で…っ、お願いします、助けて欲しいんです!!」
『いいですよ?どうぞ続けてください』
「確かに私は最初、仕事でここに……って、え…?」
貴女が死ぬとこの人の仕事が増えますからと付け足しても、信じられないといった表情で目を丸くしているソラさん。
『後は交換条件で、私も聞きたいことがありますし。で、誰から…どんなものから助ければいいんですか?』
「!…どこまで知ってるんです?」
『貴女達三人が、死神と繋がっているところまでなら』
「そんなところまで……っ」
この人達は多分知らない、その死神が本物ではないということを。
だけどここまで怯えるレベルのもの、相当の恐怖があるのに違いない。
「…でも、私を殺す人間は死神じゃないんです……っ、私達に指示を出している人間は、もう一人いるんです」
「『!!!』」
そこは流石に驚いた。
てっきり二代目の死神と手を組んだのはこの三人だと思っていたから。
まさかこの人達の上にもう一人指揮する人物が存在していただなんて。
つまりはそこと死神とが共謀を…?
でも、そうだとしたら自分で動かないメリットは何?
この人がここまで怯えるような人物なら、直接動いた方が早いじゃない…
それに、その人が私を足止めする利益も想像がつかない。
「もう一人って、そいつは誰なんだよ!?」
「そ、それを言ったら…っ、家族を人質に取られてるんです……ごめんなさい、名前は言えません…」
『!家族?』
調べてみたところ、家族らしき人物は見当たらなかった。
どういう事だ。
「は、い。小さい頃、私が一人立ちするまで一緒に生活させてくれた人が…」
『………じゃあ名前はいいので、他に何か話せる情報を下さい。戦闘スタイルでも何でも』