第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
中也さんのお手製料理を食べ終えて、流石に申し訳ないからと洗い物はさせてもらった。
洗い物をしている内に、中也さんは物凄いスピードでお風呂に入り、何故数分でそこまで出来たのかは謎であるが、髪の毛まで完璧に乾かされていた。
「洗い物、ありがとな」
『いえいえ!これくらい当然の…と、当然ですからっ、その…』
中也さんに肩をぽん、と叩かれ、振り向いてみるとあらびっくり。
「あ、どうしたそんなに顔背けて?」
『い、いやだって、中也さん…服が』
私がいなかった間に習慣になっていたのだろう。
フェイスタオルを肩にかけて洗面所から出てきた中也さんは、ズボンを履いてはいたが、上半身を隠すものが何も無い状態だった。
素晴らしく美しい、私にはとてもつけることの出来ないような筋肉と筋が絶妙なバランスで主張し合う上半身。
腕なんて私のツボをついてくるような質量感に、なんといっても骨張った節々がなんともまあ男の人らしい。
出来ることならば眺めたいところでもあるが、残念な事に私にはそこまでの心の余裕がなかった。
私には刺激が強すぎます。
「服?服って…!あ、ああ悪い!」
『い、いえ!』
慌ててシャツを着てくれた彼にほっと一安心。
したはいいものの、
「おい蝶、お前風呂上がってから飯食って洗いもんして、髪の毛ドライヤー使ってねえだろ」
と世話焼き中也さん登場。
『タオルドライしといたから大丈夫かなって思って…それにここまで長いと、流石にドライヤー使っても時間かかるっていうか……』
「んな理由が通るか!風邪でもひいたらどうすんだよ?それにタオルドライだけじゃ、折角のお前の髪が傷んじまうだろうが」
それでも止まらないのが御目付け役と称された由縁。
『え、いや中也さん!?自分で出来ますよ!?何してっ…』
「いいから大人しくしてろ、ほっといたら絶対乾かさねぇだろがお前」
私の髪を掬いながら、ドライヤーの柔らかい温風を、キューティクルの流れに逆らうことなくあてられる。
『…っ、……恥ずかし、い』
後ろから、私の姿はどんな風に見られているのだろうか。
「……ちょっと間だけだ、我慢しろ」
たまに肌に掠れる中也さんの指にドキドキする。
ああ、久しぶりだなぁ、中也さんにこうして乾かしてもらうの。
暫くの間、中也さんを独占しているような優越感に浸っていた。