第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
今私が持ってきた部屋着、それは、つい昨日中也さんにいただいたばかりの、あのワンピース。
『えへへ、もう中也さんにしか見せることもないですから、こっち持ってきちゃいました…だめ、でした?』
「い、いや、ちょっとびっくりしただけだ。……それにしても蝶、気になってたんだが…………その、洗濯物どうする?お前もそういうの、気にするくらいの年だろうし…」
『あ…そ、それなら、中也さんさえよろしければ、私が干しても良いですか?それなら私、恥ずかしくないですし』
そこまで言うと、中也さんはガタッと椅子を揺らした。
「おまっ……干す、のか?てか気にするとこそっちかよ!!そうじゃなくて、俺の洗濯物と一緒に洗われても気に触らねえか聞いたのであって」
え、なに、その思春期の娘と父親みたいな嫌がり方。
『そ、そんなの気にしないですよ!ただ、私の洗濯物見られちゃうかな、なんて思うだけでその……あああ中也さんも見られたくなかったですよね!?やっぱり私が干すだなんて図々しかったですごめんなさい!!』
「蝶の洗濯物見られ……あ、ああああそうか、そうだよなうん!!…んじゃ、俺自分のそういうのはそれだけ別で自分で洗って干すから、それ以外は頼んでもいいか?」
『え、あ、勿論です!任せてください、はは!』
そういうの、というと、やはり下着の事だろう。
私が恥ずかしがらないように気を遣ってくれたのだろうか、はたまた自分が恥ずかしいからなのかは分からないが、その辺に気を回して聞いてきてくれるあたり、やはり中也さんは紳士的だ。
こういうちょっとした気遣いが、一々私の心にキュンとくる。
『あ、そういえば中也さん、夜ご飯どうします?』
「あ?あー…晩飯か、さっき作った」
え、さっき作った!?
「時間なかったから簡単な炒飯だけどな。後はスープとサラダと小鉢くらいだが…」
『……私もまた、ちゃんと作りますから…』
中也さんの女子力スキルが恨めしい。
まさか先手を打たれていたとは…
「そ、そうか……んじゃ、食おう」
仕方ないんだよなぁ、小さい頃から、蝶に包丁なんて持たせられるか!火なんて危ないもんに近づけられるかー!って変なとこまで過保護だったし。
お陰様で中也さんの家事スキルが成長していったわけなんだけど、ここまでこられると私の見せ場がなくなって悲しいからね、明日から挽回だ。