第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
お風呂が沸いてから、中也さんにはやはり先に入れと言われてしまった。
今日からまたここの住人になるとはいえ、やはり住まわせてもらう立場にあたる分、家主よりも先に入るというのは気が引ける話だ。
それにしても……
『そんなに生臭いかなぁ…?』
やけに鯖臭さを強調する中也さんだったが、今日初めて着た中也さんの洋服にそんな匂い、私は絶対につけてないだろうし。
てか中也さんて鯖嫌いなのか、覚えておこう。
バスタオルとフェイスタオルを収納された戸を開き、それぞれ一枚ずつ取り出す。
『……中也さんの匂いだ』
やはり中也さんの事となると、変態的要素の含まれる発言が見え隠れするな。
自重しなくては。
お風呂に浸かって温まり、風呂場を見渡していると、懐かしいものが見えた。
『これ、ケース新しくなってる…買い直してくれたの?私のために』
以前使っていたものと同じシャンプーとコンディショナー。
ケースが新しくなっていることから、新品だと見て取れる。
小さい頃から使っていたものだが、金銭感覚の冴えてきた今となっては、これらの商品がなかなかにいい値段がするものだということも分かっている。
そこまで私にお金をかけなくってもよかったのに。
それに、トリートメントまで新調されているのを見ると、わざわざそこまで考えてくれていたのかと思ってにやけがおさまらない。
『入浴剤も、同じやつだ……』
帰ってきた。
中也さんのところに。
舞い上がって、いつも中也さんが褒めてくれる長く伸ばした白い髪を丁寧に洗い上げ、お風呂場を後にした。
そしてそこで、重大な事実が発覚する。
『あ、やばい。』
下着と部屋着がない。
なんというベタな展開。
しかし、私にとっては朝飯前だ。
いい感じのうっふんな展開を期待した諸君、お忘れだろうか。
私は探偵社の社員寮に行きさえすれば、すべての生活用品が整っているんですよ。
といった具合いなので、バスタオルを身体に巻き付け、脱いだ下着を回収し、それと新しい下着とを交換し、部屋着を持って脱衣場へと戻ってくる。
因みに下着は洗濯機にかけておいた。
勿論社員寮の方のです。
『中也さん、上がりましたー…』
頭にタオルを乗せたままリビングへ行くと、座っている中也さんがいた。
「おう、あがったか……って蝶、それっ」