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第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ


さっきのは、夢?

胸の動悸が鳴り止まない。

中也さんに……あの中也さんに、キスされた?
おでこだったけど、間違いなく口付けられた?

そんな中、続いて襲い来る首元への刺激。

今回は、中也さんが意志を持って触っているのがわかる。
何で、何も言わせまいとしてくるの?

そして何で、私の身体はもっとって刺激を求めてるの?

中也さんの手、大好きな手。
少し擽ったいけれど、恥ずかしいけれど、嫌じゃない。

だから、中也さんの手が離れた時、何でって思いが消えなかった。

何でやめちゃうの、私、もうちょっとで素直に……

____素直に、何?
私は何をしようとしてた?

何で、こんなに切ないの?

離れていく彼の手を意識しながら、中也さんを見つめて、何でやめちゃうのって、

『ふっ、……ぁ、中也さ、…』

「…何だ?」


でも、彼の目は私に羞恥を煽って、それを言わせてはくれなくて。

『…な、んでもない……です』

言うのも恥ずかしいし、言えないのももどかしい。
そんな私は、中也さんの胸に縋ることしか出来なかった。

「!蝶、どうしっ…」

『お願い、しますっ……聞かないでっ…』

「……分かったよ」

中也さんは私に抱きつかれたまま横を向き、私の背中と頭に手を回した。

何でこんな時に抱きしめてくれるんですか。

何で、結局は優しくしちゃうんですか。



おでこへのキスの真意が分からず、また、先程自分に襲いかかってきた何とも形容し難い刺激からの甘やかな幸福感、そしてやめられてしまった後のとてつもない虚無感に、頭の中は困惑している。


『中也さん、私、中也さんのこと嫌いになんてなりません』

「ああ」

『何されたって構いません』

「……流石に嫌なことは嫌って言え」

『…中也さん、好きっ……』

「…………分かってる」

わかってるの?
わかってて、こんな風にするの?

「俺もだ」

それは、どっちの意味なの?

「だから、とりあえずは……このさっきつけられたんだろう、お前の鯖臭さを落とすためにも、帰るぞ」

……ん?

『え、鯖臭……!?ごめんなさい、全然気付かなくて!鯖何て食べたっけ…』

中也さんからぱっと離れる。

「別に離れる必要はねえが……その匂いのままなのは俺が嫌だな」
__太宰の青鯖野郎の匂いがする


彼の意図も読めず、彼の家への扉を作った。
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