第12章 夏の思い出
どう考えたって謀反を起こす気満々のあの三人なのに、味方に殺されそうになった途端に信用しちゃっていいの?
女の人相手なら、そんなに単純に信用しちゃうの??
プライベートなはずなのに、どうして部下を護ろうとなんてするの?
いいじゃない、自己責任で……今までずっとそうだったじゃない。
目の前で起これば関係ない?
自分の秘書だから?それともあの人が綺麗だから?
私はこんなにもあの人の事を警戒してるのに…私はこんなにもあの人にだけは中也さんを取られたくないと思ってるのに。
殺されそうになったから心配?
それとも、私よりも弱くて女らしい人だから心配?
それとも___
『______私なら死なないから、そっちが優先…?』
普通の女の人が、優先なの……?
「蝶、ちゃん…?」
「……乱歩さん、これは?」
「嫉妬…混じりなのは確かだけど、まあ蝶ちゃんは八つ当たりもせずにここまで来たんだね。……八つ当たりしちゃうのもいいと思うけど」
乱歩さんの言葉にピク、と反応する。
『八つ当たりとか…いい歳してするわけないじゃないですか』
「中学生が八つ当たりの一つや二つするのは当然だよ。というか蝶ちゃんを嫉妬させるようなことするあの人が悪い」
『そんな無理矢理な「ほら、それ」それ…?』
「何気に遠慮して彼の事庇ってるでしょ、それダメ、絶対。遠慮してもいい事ない。それに彼がそんな風に女性というものに優しくなったのは、君との共通点を感じてしまうところがあるからで……____っ、蝶ちゃん、そこ今すぐどいて!!!」
不貞腐れて、感情的になって、自虐的になって…
何にも感じ取れなくて、何にも分からなくなっちゃってた。
何にも警戒してなかったのは、私の方。
『____ッッ!!?』
乱歩さんの声がしてすぐにの事。
音もなく、ただ唐突に、背中に焼けるような…抉れるような、久しい激痛が走ったのだ。
「え、蝶ちゃん……?ちょっと…?」
『!……だ、め…ッ、カエデちゃん連れて隠れて…!!!』
意識をなんとか持ってきて声を出すと、カルマ君とカエデちゃんを連れて与謝野先生と国木田さんが遠くに行く。
ヤバい、本格的にこれはキツい。
何がきついってそんなの…
『呼ばな、で……ッ』
「!蝶ちゃん!!!」
また、貫通しない銃弾。
下手に体質を見せられない。
___血が、足りない