第12章 夏の思い出
中也さんの指が首から離れて、今度は両手でギュ、と包み込まれる。
背中に手が回されて、落ち着く…あったかくて、心地いい。
「あー…良かった、生きててくれて。本気で焦ったさっきは。お前が死んじまったら育てるも何もねえんだぞ、分かってんのか?」
『六歳児には流石にそこまで出来ません…?』
「たりめぇだろ、お前もうだいぶ身体で覚えちまってるだろうから、意地でも死ぬなよ………小さくなったら痛ぇぞ、激痛だ。泣き叫ぶ事になる」
『え、無理なんじゃ「あ?お前なら年齢構わず抱けるぞ俺は」中也さんよく抱きつかせてくれるもんね?』
その瞬間にピシッとその場で固まった中也さん。
私がほぼ中也さん限定とはいえ、抱きつき魔レベルに抱きつくのが好きだというのを知ってか知らずか……はたまた私を安心させるためか、よく抱きつかせてくれるし抱いてくれる。
中也さん、優しいもん。
「あー…その、蝶さん?抱くっつのはそういう事じゃなくてだな?」
『え、どういう事?』
「………だから、抱くっつうのはだな…」
中也さんは顔を真っ赤にさせながら、遠慮がちに、それもしどろもどろになりながら私に必死に説明しようとする。
「その…お前、分からねえか?あれだよあれ」
『あれってどれですか、馬鹿なんですか?』
「純粋な目が痛ぇ……っ!!!」
いいか、よく聞くんだ、大人ならこれはちゃんと理解しておけ、いいな
中也さんの言葉に疑問を持ちつつもはいと頷くと、抱くっていうのはな?と口を開く。
「抱くってのは…だから要するに、俺が散々お前の身体に覚えさせてるあの気持ちいいや「ちょっと、蝶になんて事教え込んでんすか中原さん!!?」立原!?手前、今蝶に一般常識を仕方なくだな!!?」
突然響いたその声の方を向くと、顔を赤くして焦った様子の立原と、やれやれと頭に手を置いている広津さんが来ていた。
あ、そっか。
中也さん呼んでたもんね。
「そこじゃないっすよ、恋愛すんのも初めてでこんな純粋って言葉を体にしたような蝶に、何教え込んでんすか!?散々身体に覚え込ませたって、あんたいったいこいつに何して……!……………どんくらいやってんすか」
「んなもん気分にもよるが、数日に一回くらいは「数日!!?」うるせえな!?前戯だけなんだから仕方ねえだろ!!!」
『え……そ、それもしかして…ッ!?』
「「あ」」