第12章 夏の思い出
「素直な蝶に褒美……何がいい?」
『…ちゅー……いっぱいしたい』
「他には?」
『……中也さんの好きにして、ほしい…っ』
中也さんは耳元に口を寄せて、帰ったらめいいっぱい可愛がってやるよ、と呟いた。
そんな事にも感じてしまう。
こういう気分になるととことん弱い……とことん、中也さんにされたい。
気持ちいいのが好きになっちゃって、耐えられないくらいに滅茶苦茶にされちゃうのがもっともっとゾクゾクしちゃって…そういう意味では意地悪されたい。
子供のまんまじゃ考えつきもしないような、中也さんのそういう部分に気が付いた……それさえもが堪らなくかっこいい。
「じゃあ、されて嫌な事は。手が出せねえ今の間に言っておけ…だいたい分かってっし気をつけるつもりだが一応確認だ」
『……痛いのと、中也さんに怖くされるの、嫌…しないとは思うけど…………暴力的なのは、しないで…?』
「おう、流石に俺もお前相手にんな事出来ねえよ…俺が怖くするって、どういう事だ?」
『怖く………い、いやって言っちゃうのは仕方ない…から、それでやめちゃうの、やだ。…ちゅーしてくれないのも、や……びっくりしていやって言った時に焦らされるの、嫌い』
それか…と中也さんは私に頭を預けるように項垂れる。
何故だか後悔したような項垂れ具合。
「相当前にやったのが効いたか…?キスはまあいいとして、焦らしたらお前すっげえ可愛い反応してくれっから俺としては好きなんだが」
『っ、…あれ、すっごい辛いの』
「……前ほど酷くはしねえよう善処する」
そんなにそこは譲りたくないのか。
突っ込みたくはなったけれどそんな気分にもなれない。
『中也さん私の育て方変えた…?』
「かなり変えた…というより、変えちまった。抑えようとはしてたんだが、どうもお前見てっと独占欲っつうか支配欲っつうか…お前の言うマフィア脳っつうのがどうも出ちまうらしい」
『私はずっと中也さんのだよ。すぐに好きなようにする機会なんていつでもあったのに』
「そこは察しろ、お前にんな事すんのも躊躇われるくれえに大事なんだよ…想像以上にお前にそういうのを教え込むのが好きらしい、俺は」
中也さんの指が首筋をなぞって、それにビクッと肩を跳ねさせる。
最近じゃあいやって言わなくなった…気がする。
「もう十分、飼い猫みてえに従順なんだがな…」