第12章 夏の思い出
お弁当を食べながら、今晩のお祭りの事を想像する。
何人かは来るはずだ、誰が来るんだろ…
皆と会えたら勿論いいんだけど、やっぱりカルマ君とカエデちゃんあたりとは特別会いたいなぁ、後倉橋ちゃんあたりも。
スイーツ仲間に美味しいものを教えてもらおうじゃありませんか。
『ん〜…りんご飴……と綿あめとかき氷?……!ぶどう飴とかいちご飴なんてあるの!!?』
携帯で調べていると衝撃的なものが見つかった。
それについついガタッと音を立てると、隣でご飯を食べていた谷崎さんもそれを覗き込む。
「ああ、割とここ数年で一気に見るようになったなあこれ…蝶ちゃん見たことなかった?」
『し、知らなかった…え、みかんとか……冷凍フルーツっ!!ち、チョコバナナもいっぱいなんか種類ある!!』
「これは中原さんのお財布…は大丈夫か。胃が悲鳴をあげそうだね」
他にもお祭りならではの屋台の、今までに見た事も無ければ食べた事も無いような甘いものがずらりと写真で載せられている。
天国、その二文字が頭の中に思い浮かんだ。
『どこのお店から買い占めていこう…』
「買い占め単位なの!!?」
『だ、だって美味しそう…っ!かき氷も全部制覇して……クレープもあるんだ……!!』
「……買い占めずに、とりあえず一個ずつ食べていって、美味しかったやつをいっぱい食べてみたら?」
谷崎さんの提案にそちらをバッと振り向いて、うん!と目を輝かせて笑顔になる。
お祭り楽しみ…甘いの食べ放題。
「な、なんて分かりやすい……プッ、まあ楽しんでね。調べてみたんだけど椚ヶ丘の夏祭りって、一応ちゃんと花火もあるみたいだし」
『花火…皆とも花火見たかったなぁ……』
ポツリと漏れてしまった呟き。
目を丸くして、私の方に谷崎さんと太宰さんの視線が刺さる。
『え…っ、あ、いや……今のは何でもなくてっ!!気にしないでください!!!』
「い、いや…隠さなくてもいいよ、可愛いだけだから」
『ちょっと、なんで谷崎さんに中也さんが乗り移って「諦めたまえ蝶ちゃん、ここの全員が手遅れだなんてこと君が一番よく分かっているだろう」だめだこの会社……』
呆れつつも悪い気はしなくて、笑を零して祭りについての記事を漁っていった。
「おやおや」
「帰る前に大丈夫なんですかね?」
「寝顔も可愛いからちょっとなら」