第12章 夏の思い出
爆弾の処理を終えて犯人を探し当て、なんとか能力無しでも逃げられずに捕らえることが出来た。
まあ骨の三本か四本はやっちゃったかもだけど、箕浦さんに今は諸事情で能力を使っていないのだと説明すると何故かすんなりと納得してもらえた。
爆弾の処理まで自分でしてしまったために少し驚かれてしまったものの、もう何度目かに会うような人達からは流石だとか今回も助かったよだとか嬉しい声をかけてもらえ、まあいつものように仕事を終える。
ついでに今回の爆弾の処理方法や犯人、爆弾の在り処などの割り出し法も纏めて資料にして箕浦さん宛に送付。
これで夏休み分のお仕事は完了!!
『完了……はいいけど二時…ご飯食べなくちゃ』
自分のデスクでぐったりとうつ伏せになっていると、お疲れ様、と声が響く。
ムクリと顔を起こしてそちらを向くと、声の主であった谷崎さんがそこにいた。
太宰さんは相変わらず事務所でグダグダしていて、国木田さんと敦さんと鏡花ちゃんは外で任務だ。
『谷崎さん…あー、なんか嫌だなぁ新学期。もうちょっとここに座ってたい』
「でも学校始まったらまたみんなに会えるよ?」
『……今日会いますもん。休みでも会えますし』
「まあそうだけどさ…ほら、会いたい子何人かくらいはいるでしょ?カルマ君とか」
谷崎さんの方を、目を丸くして見つめる。
鋭い…確かにあの子なんか、最近になったら全然あってもなかったし。
ずっと学校なんかじゃ右隣にいるのが普通だったから、他の人から名前を出されると物凄くスクールシックになってきた。
『…意義無し』
「蝶ちゃん本当にあの子の事好きだよね」
『私の初めての親友だから』
「!……成程。でももう一人いなかったっけ?よく名前聞く…ほら、女の子!」
谷崎さんから女の子と言われて、もう一人…その言葉で思い浮かんできたのはたった一人。
女の子…うん、確かに会いたい、同じく意義無し。
『カエデちゃん!』
「うんうん、友達っていいねえ…」
『…でも探偵社の皆も大好き』
「い、いい子……っ、なんていい子なんだ蝶ちゃん!!今度アイス奢ってあげるっ!!」
谷崎さんからのまさかの発言にアイス!?と一気に笑顔になった。
「いいよ、いいよ!!いくらでも『じゃあ十七段!』……う、うん!そうだね、それくらいは食べないとね!!」
「谷崎君、甘やかすのも程々にね」