第11章 縁というもの
「よーしよし、舐めてえな?とりあえず舐めさせてやっからこっち寄れ」
『!!蜂蜜♡』
「俺より蜂蜜かお前…」
中也さんに飛びついて顔を近づけてはにかむように笑うと、食わしてやるからもうちょい近づけろと言われ、届くところまで顔を寄せた。
するとスプーンを手に持って、それを中也さんは私の口に…………入れる前に、頬に落とされるキス。
『ぇ……っ、ちょ、中也さん蜂蜜…ッ!ちょっと、なんでそんないっぱい!?』
一度や二度の事じゃあない。
両頬に何度もリップ音を立ててキスをされる。
「俺より蜂蜜かぁ?妬けるじゃねえか…」
『蜂蜜に妬いてどうす…っ、し、しすぎっ!!しすぎだから中也さんッ』
「今度心いくまでさせてくれるって約束すんなら舐めさせてやる」
『近寄ったらって言ってましたよね!?ていうかいつもしてるんじゃ「俺がしてえだけしたらお前持たなくなんだろが」ぅ…、あ…っ』
なんだこの人、底なしの精神力…というか鬼。
キス鬼中也さん…バカとかいう単語で終わらせちゃダメだ、鬼だよ、そうだよこの人鬼だったんだよ。
「んで、どうする?また今度死ぬ程俺とキスすっか、このまま俺にキスされっか」
『それ結局するんじゃないですか中也さんのキス魔!!!』
「当たり前だろキス魔らしいんだから。つかお前も好きだろが」
要するに中也さんからの愛情たっぷりのキスに蜂蜜が付いてくるかどうか…というよりは今するかもうちょっと色々と余裕のある時にするかの違いだけ。
選択の余地を無くしてくる。
自分が休みで暇になったから頭おかしくなって変に私不足になってるんじゃないの?この人は。
『鬼ぃ…ッ!!……っ、蜂蜜…下さい』
「いるんじゃねえか…ほら口開けてみろ。あーんってやつだ、ほれ」
『ぁ…』
目が完全に笑ってる。
計画通りって顔だこれは。
悔しいながらに小さく口を開けると、氷で冷やされていた冷たいスプーンが口の中に…入ったと思って口を閉じた。
『……』
「ぷっ…ククッ、!!あーマジで面白ぇ…お前ほんと最高」
前にもあったぞこんな事。
スプーンを持ってひょいっと上に上げてる中也さん。
ジロ、と冷めた目で見つめ続ける。
『…もういい、中也さんこれからちゅーしてくるの禁止』
「悪い悪い、ただあんまり可愛らしかったもんでつい…ほら、今度はちゃんと食わしてやるよ」