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第11章 縁というもの


「落ち着いたか」

『ん…』

「飲みもん持ってくるから、ちょっとだけ待って……って怖いな、電気付けるから一緒に来るか?」

コクリと頷いて、中也さんのシャツの裾を握りしめながらベッドから降りる。

宣言通りリビングに入る前に証明を付けてもらえ、恐る恐るになりつつも中也さんに掴まったままキッチンの方に移動した。

「あれ、お前いつも蜂蜜なんか入れてたっけか?」

『探偵社で前にもらってからちょこちょこは』

「へえ………お、いい具合になってきた」

紅茶のいい香りが鼻をかすめる。
中也さんにくっついて作業を見ているのだけれど、やはりやり慣れているのだろう、手際がいい。

少し大きめのマグカップに注がれたものをテーブルの上に置き、いつもなら向かい合わせに座るのだけれど、椅子を移動させて隣に座った。

お腹に腕を回してひっついていると宥めるように背中を撫でられ、また少し落ち着けた。

「悪かったな、本当に。今日お前があまりにも可愛かったもんでついそれしか考えてなかったわ」

『……本当の事を言うと?』

「蝶さんエロすぎてめちゃくちゃ悶えて葛藤してました、すんません」

『素直でよろしいです…って何考えてんですかもう!!?』

本当に何を考えているんだこの人は。
悶えてたとか葛藤してたとか何いったい、何と闘ってんのこの人。

「だから言ってたろ、お前見てっとそういう事考える事なんかまああるんだって」

『こ、恋人をどんな目で見て…っ』

「だからこそだろ、好きな女のあられもねえ姿なんざ見たら誰だって欲情しちまうさ」

な、知りたくなかったろ?と言われて、頭をグルグルさせて恥ずかしさに煙をプシュ、と出した。

お、男の人って本当によく分からない。

ていうか何気にさらっと好きな女のとか言ってるよ、何この人本当、なんでこんな余裕そうなの。

『ぁ…も、何も知らないですはい……紅茶いただきま「!待て蝶、危ねぇぞそれ!!」危な…っ!?』

マグカップを持とうとした瞬間に中也さんの声によって阻まれた。
突然の大声にビクッと手を止めてしまって何かと思って中也さんの方を慌てて向く。

すると本当に焦った様子で私のマグカップを持ち、紅茶に向かってフーフーと冷まし…あれ。

『…中也さん……?危ない……って?』

「お前、猫舌だろうが!?火傷したら危ねぇだろ!!?」

この人は…!!
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