第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「蝶?どうしたんだよお前」
中也さん、そこでも天然ですか、流石に私も悲しみますよ!?
「い、いやあほら、男から見ててもこんなかっけぇ人憧れるっていうかなんというか…」
「確かに蝶ちゃんがかっこいいって言う理由もよぉおく分かるなぁ〜って、ね?」
男女揃って中也さん狙いですかちょっと!?
『ていうか待ってよ!誰今さり気なく私がしてる中也さんの話暴露したの!?』
本人の目の前で言わないでよ恥ずかしい!
中也さん見てみなさいよ、ぽかんとしてるし!絶対引かれた、折角これからデート(仮)なのに!
「堂々と言ってなかったか?この世で一番愛して」
『え、ちょ、それやめっ……わっ何!!?』
杉野君が近寄ってきて新たな暴露を仕掛けたところで、片手を引かれてそっちに転けかけた。
「悪いな手前ら、こいつは今から俺を堪能することをご所望だそうだから、そろそろ俺達は行かせてもらうぜ。」
手を引っ張ったのは中也さんだった。
一言一言が、そして何よりも手を繋ぐことを意識してくれているようなこの行動が、私の胸をうるさくする。
『え、中也さん!?』
「……行くぞ。首領、ではこれで失礼します。先生方もこいつの事、これからもよろしく頼む。」
ぺこりと一礼してから、手を繋いだまま歩き出してしまった。
『ちょっと、いきなり過ぎませんか!……あ、皆、修学旅行楽しかったよ!またね!!』
振り返って手を振って、前を見てないと危なかったので元に戻り、中也さんの隣につく。
『……ふふ、中也さんだっ♪』
手を繋いでいる方の中也さんの腕にしがみつき、擦り寄る。
「うおっ!?…んだよ、昨日だって会ってんだろーが?」
『だってデートだよ?中也さんとデート!嬉しいの、特別なの』
花が舞いそうなほど幸せな脳内。
中也さんは私を引き剥がすような事はせず、頭を数回撫でて反応してくれた。
_…俺以外にそんな事言うんじゃねえぞ
『何か言いました?』
「いや、何も?」
二人の後ろ姿を見ながら、生徒達も解散を始める。
「中原さんってツンデレなのかな?」
「さっきの絶対杉野にヤキモチ妬いてたよね!!」
「蝶ちゃんといい感じに進展したらいいなぁ〜!」
「てか本っ当に俺思うんだけどさ?」
「「「早く付き合えばいいのにあの二人」」」
中学生達の二度目のこの呟きに、森は笑みを漏らした。