第11章 縁というもの
中也さんは暫く咳き込んでから、恐る恐るこちらに顔を向けなおす。
「ど、どういうのってお前…ッ」
『へ……あ、』
真っ赤な顔の中也さんを見てから、ようやく事の重大さに気が付いた。
ダメだ、中也さんのせいで胸に関してはポロッと口から出てしまうようになっちゃってる。
『ち、違うんです中也さん!別にいいサイズのやつがないとかじゃなくって、すぐ合わなくなっちゃ……じゃなくて、色々種類があ………ち、中也さんに可愛いって思ってもらえるのが、いい…』
「下着は見せるもんじゃねえんだよ下着は!!!お前今絶対ぇ混乱してんだろおい!!?」
『だ、だだだって中也さんに思ってもらえるようなのじゃないと手抜いてるみたいで「抜いてていいだろそこぐらい!!なんて事想像させてんだお前は!!?」で、でも本当にいっぱいあるし…か、形とかよく分かんないし』
ゴニョゴニョと言いごもると中也さんは頭を抱える。
「そういうのは女に聞け女に…ッ、野郎に相談してんじゃねえよ、なんでそんなとこまで俺に聞いてくんだお前は、ああ!?」
『!……だ、って、中也さんが合わせろって言うから…好きなのあるのかなって』
「悪かった、俺のせいだなそれは、いいぞ蝶、何も心配しなくていい。お前は何着てても可愛いからもうこの話から離れよう」
『む、胸ちゃんとしたら大人に見える…?中也さんと釣り合って、見える?』
必死になって中也さんにバッと目を向けると、何故だかうっ、と声を漏らされた。
身長は低いし望みはない。
顔は童顔でどうしようもない。
中也さんが唯一挙げたのがそこなのなら…そこを何とかするしかないのだろうかと思ってしまうものだろう。
人から見て、中也さんは私のものなんだって分かってもらえるような女の人になりたい。
私がもし今中也さんと同い歳なら、こんな風には……
「き、気になるもん…だよな、お前なんかだと特に。いや、まあ胸は俺の趣味だ、混乱させて悪い」
『…ううん、中也さんのせいじゃないから。これは私の問題で____……ッ、?』
頭を冷静にさせて、死んだ私が悪かったんだと言い聞かせようとした時だった。
スル、と右手の指が中也さんに絡め取られて、少し指をビクつかせる。
するとキュ、と手を取られて、中也さんはもう片方の手で私を撫でた。
「…………これなら周りからもそう見えんだろ」