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第11章 縁というもの


「なんつうか本当、夫婦みてえだよなぁ」

『プロポーズまでされてるからね』

「中原君もそこまで成長したんだな…って、プロポーズ……?」

固まった広津さん、そして立原。
うん、プロポーズ…と頬を緩めて、思わず微笑みながら口に出す。

一回目の方も死ぬ程嬉しかったけど、昨日のやつは誰にも内緒。
嬉しいのなんて通り越しちゃって、どうしていいのかわからないくらいになっちゃった。

『……これで籍さえあったらなぁ』

ポツリと呟いた時だった。

「なぁにしけた面してんだよ、んなもん考えずに苗字を変えりゃいいだけの話だろうが」

ポン、と頭に置かれる手。
響いた声に、聞こえていたのかと苦笑した。

『なんで今はそんな地獄耳なんですか…』

「お前の泣き声ならすぐに聴こえるぜ」

『泣いてない…今日から苗字変えてもいい?』

「阿呆、それはせめて成人するまで待ってろって」

首領に挨拶をして、中也さんは私から手を離す。

やはり律儀な中也さん…結婚自体は私がしても重荷にならないような歳になるまでお預けらしい。
でもそっか、これから先、本当にずっといるんなら…苗字を変えちゃえばいいってだけなんだ。

どうなるのかは分からないけれど、それなら確かに籍は要らない。

中原って名乗るのかな……中原 蝶、なぁんて____

「ぷっ、考えてっことバレバレ…可愛い奴」

『!!……え!?私何か言ってました!!?』

「いや、顔見れば分かるわ。分かりやすすぎ……ククッ」

お腹を押さえて笑いを堪えようとする中也さんに、カアアッと熱が顔に集中した。
ぜ、絶対子供だって思われた…し、仕方ないじゃない!?
そんな事、女の子だったら考える事があってもおかしくないはず!!

「中原君、蝶ちゃんは一体何を?」

「まあだいたい想像はつきますけど…結婚式についてとか?」

「生活自体は今とさほど変わらないような…」

首領、立原、広津さんと続けて話を掘り下げ始める。
私の事を理解しすぎて手に取るように考えの分かる中也さんは、お腹を抱えて大笑い。

『な、何なんですか!?子供だって思ったでしょう今!!?仕方ないじゃないですか、考える事だってあるでしょ!!!』

「いやいや、子供だとは思ってねえよ、純粋に可愛らしいと思っただけだ…っぷ、」

そんなに俺の苗字に憧れるかよ?

ドキ、と胸が高鳴った。
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