第11章 縁というもの
中也さんが来るまでの間に私の休みを首領に伝え、それと同時に護衛の二人もそれを確認する。
探偵社に滞在する日、椚ヶ丘まで行かなければならない日、残る休日は中也さんと休みを合わせるから、そこが自動的に二人の護衛の要らない日となる。
「成程、夏休みだと思って舐めていた…中々ハードだねえ、仕事を掛け持ちしているというのは」
『そうですか?小さい頃に比べると全然大したことないですし、寧ろ楽しいとも思いますけど』
「んん、まあそこと比べちゃあいけないよやっぱり……にしても本当に少ないね。もしかして蝶ちゃん、探偵社の方って夏季休暇は無し?」
『ポートマフィア程人がいるわけじゃありませんしね。それに私、普段学校あるから横浜での仕事減らしてもらってますし、夏休みくらいは働かないと』
「お前いい奴かよ、めっちゃ偉い子じゃねえか、マジでいい子じゃねえか」
ストレートに褒められてちょっと恥ずかしくなった。
立原からフイ、と目を逸らすと広津さんと首領からクス、と笑われ、眉間に少しシワを寄せる。
仕方ないじゃない、どうしたって褒められるのは嬉しいんだから。
「中原君に似て仕事熱心な子だ……!そうだ、じゃあもういっその事、中原君にいっぱいお休みあげちゃおっか」
『!中也さんにお休み?』
「うん、いつも頑張ってくれてるからね。そろそろちゃんと一回休んでほしいところだし…いっその事蝶ちゃんの夏休みが終わるまでお休みにしちゃおう」
『〜〜〜首領大好き!!またエリスちゃんにドレス買ってきます♪』
「うんうん、僕も蝶ちゃんが大好きだよ!蝶ちゃん見た目的に全然守備範囲内だからセー『何か仰いました?』う、ううん、なんでも」
何が見た目的にだ、それ何気に私の見た目年齢十二歳以下だって言ってますよね。
……まあいい、今回は中也さんのお休みと引換に大人しくしておきましょう。
『えへへ、中也さんがお休み♪家に帰ったらいつでも中也さんに会える♡』
「うわ、すっげえ喜びよう」
『だって私がただいま出来るんだよ?夜まで待たなくても中也さんに会えるの』
「……そんなに嬉しいもんなのか?」
『うん、お仕事あるから仕方ないけど…日によっては一緒に寝れない日とか一緒にご飯食べれない日とかあるし』
まあ、結局中也さんは私と一緒のベッドで寝てくれて、作っておいたご飯は綺麗に食べてくれてるんだけど