第11章 縁というもの
首領の指示に従って、立原は広津さんを呼びに執務室を退室した。
『…護衛、まだ続けるつもりですか。相手が相手ですから、本当に危なくなるかもしれませんよ。それに多分、私が一人で行動していた方が早く尻尾を掴めます』
「それでは君が心配だ、お願いだから一人にならないでおくれ…言っても相手はあの死神の弟子なんだから」
『なんであんな子が殺せんせーを狙ってきてるんだか…償金ですかねやっぱり。とりあえず相手が相手ですから、私は二学期に入ってから、出来るだけ椚ヶ丘の方に集中しようかと』
「その、聞きにくいんだけれど…二代目君を早く殺してしまう事は出来ないのかい?君の能力を使ってなんとか……」
首領の言葉に首を横に振った。
出来ることならそうしたい…だけど私は一応、殺しをやめた人間だ。
大切な人達に何かあったら流石に抑えられそうにもないのだけれど、中也さんとの約束だから。
『顔が、恐らくかなり特殊な方法で変えられています。整形でもしたのかな…扉が作れなかったんです。それにもし作れたとしても、無事に相手を殺せるような人が…思い付きません』
「!異能を使ってもかい?」
『中也さんなら物理攻撃が効きませんし、圧死させて一瞬で片を付ければ大丈夫でしょうけど。………あの人を死神の弟子なんかと闘わせるようなら、流石に危険すぎるので私が止めます』
「そ、そんな無茶は流石にさせないが…………そうか、そんなところが。こちらはあの三人の監視を続けておこう。蝶ちゃん、それと…その事、やはり全部中原君にも言っておかないかい?」
首領が私を心配してくれているだなんて事、分かってる。
この事態を知れば、きっと誰でも心配する。
だけど私は死ねないし、ある意味そこは好都合…能力を下手に漏らして対策さえ練られなければ、ほぼ確実に私が勝てる。
『……ダメですよ、それで心配して私が学校に行けなくなったら…クラスの方が心配ですから』
「…そうだね、折角の友達だもんね。あの三人について他にも何か分かったら教えてくれ。とりあえず明日から、護衛に広津さんにも行ってもらうようにするから」
『すみません、わざわざ人員を割かせてしまって……とりあえず私は、暫くここにはあまり来ないようにしておきますね。敵が四人ともなるとあれですし』
「うんうん、そうしておきなさい。気にしなくていいよ、甘えなさい」