第11章 縁というもの
宣戦布告…というより命令に近いものだ。
殺気は抑えられているだろうが、少し本性が出かけて黒服さん達が怯えてる気がする。
『…とりあえずドアノブの事は今から首領に謝ってくるから、立原ついてきて。中也さんはまた後で…で、ソラさんは、これから仲良く出来ればいいですね』
「!!…よ、ろしくお願いします……白石、さん」
『はい、よろしくお願いしますね』
中也さんはおい?と呼んでいたようだけれど、それも気にせずに歩いてエレベーターで登っていく。
すると廊下で立原が声を漏らした。
「お、女って怖ぇ……つかお前が怖ぇわ」
『何言ってんのよ、怖がらせるためにした事なんだから当たり前じゃない。殺気で気絶させなかっただけマシだと思ってほしいわね』
「………お前、さっきの奴に何か言ってたろ。何言ったんだよ?」
『それは、今から話すから…____失礼します、首領。白石です』
ノックをしてから執務室にお邪魔する。
そこでは首領が座っていて、いつもの威厳を漂わせていた。
立原も挨拶をしてから中に入り、黒服さん達は退室し、中は三人だけになる。
「やあ、来てくれたね。…それで、もう情報が少し見つかったというのかい?」
『はい、それで先程、一人脅してきたところです』
「脅しってまた……はは、蝶ちゃんは中原君の事となると好戦的だからねえ」
それほどでも、と返して、懐にしまっていたUSBを首領のデスクの上に置く。
『三人の名前、出生、暗殺歴と仕事の概要を持ってきました。今回の分は恐らく手渡しか口頭でのものなんでしょう、見つかりませんでした』
「ふむ、もうそんなに調べてきたのかい?」
『当然…組合のお二人の協力もあって、意外と簡単にコンピューターに侵入できましたから』
「味方にいてくれると心強いけど、敵には絶対回したくないねぇ」
首領はUSBの中のファイルを開き、今のところ分かっているだけの情報を確認していく。
「テール、メール、シエル…ほお、フランス生まれか。そこからイタリアで…」
『手際はそこそこ…まあ、今まで死ななかった程度の腕はやはりあるようです。異能力は私も能力を使って確かめてみましたが、本当に無いようでした』
「……仕事もそこそこしているね。三人一組というスタイルは幼い頃からのものだったのか」
『…その、依頼人の中に一つ、警戒しておくべき名前が』